2018年 9月 20日 (木)

メルカリの「赤字」に分かれる見方 「黄信号」VS「足元堅調」

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   フリーマーケットアプリ大手、メルカリの株価が下落基調を止められずにいる。特に2018年8月9日に6月期連結決算を発表して以降、その最終赤字に投資家が失望し、売られる展開が続いている。決算発表時に記者会見した山田進太郎・会長兼最高経営責任者(CEO)が「短期的な利益を追う段階ではない」などとして黒字転換時期を示さなかったことにも市場の動揺が広がっている。

   メルカリは6月19日に東証マザーズに上場したばかりの若い企業で、その株が株式市場で自由に売り買いされるようになってまだ2か月ほどしかたっていない。公募価格3000円に対し、上場当日に期待先行で一時6000円まで株価が上昇し、今もこれが「上場来高値」となっている。6月19日の終値は5300円だった。

  • 決算発表で株価に変化(画像はイメージ)
    決算発表で株価に変化(画像はイメージ)

米国での事業拡大に向けた先行投資が響いた

   しかし、その後の株価は高値不安感などから右肩下がり。8月9日に上場後初めて発表された決算で最終赤字が70億円(前期は42億円の赤字)と赤字が拡大したことなどから翌10日に株価は急落し、一時10.9%(515円)安の4220円まで下げた。10日終値は4225円。その翌週も13日、14日、15日と続落し、14日には一時、上場来安値である3650円をつけた。その後やや持ち直したが、決算発表直前の8月9日終値4735円にはほど遠いのが実情だ。

   2018年6月期の決算をみると、売上高は前期比62.0%増の357億円で、営業損益は44億円の赤字(前期は27億円の赤字)だった。営業赤字は市場予想の平均(32億円)よりもかなり大きかった。赤字が拡大した原因としては、国内フリマアプリ事業は利用が増えているものの、国内での新規事業や海外、特に米国での事業拡大に向けた先行投資が響いた。

   先行投資している米国事業が軌道に乗れば、それは確かに将来の成長を見込めるわけだが、ネット先進国の米国に日本企業が割り込むことが容易ではないことは、楽天やマネックス証券などの例が雄弁に語る。そのため、「米国事業を原因とする赤字の継続ないし拡大はメルカリの将来にとって黄信号」(外資系証券)との見方から売りが膨らんだようだ。

   売りが膨らむ要因としては、経営トップの発言もあるとされる。上場後初の決算発表に登壇した山田進太郎会長のことだ。黒字化の時期について問われた山田氏は「メルカリのゴールは短期的な収益性を高めることではなく、中長期的に成長すること。いつまでに黒字化できるかは明言ができない。国内外で積極的に投資していく」と述べた。2019年6月期に関しては「合理的な業績予想の算定が困難」として予想値を公表しなかった。もちろん、創業間もない企業が赤字体質であることはやむを得ない面もあるが、将来の黒字化見通しが示せないことに投資家がいらだっていることは否定できない。

「投資効率を見極めつつ規律ある投資を」との説明

   また、好調という国内メルカリ事業を疑問視する向きもある。2018年4~6月期の月間利用者数は前年同期比27%増の1075万人と増えたが、1~3月期(43%増)よりは伸びが鈍化しているためだ。

   一方、好意的に見るアナリストも少なくない。SMBC日興証券は8月9日発行のレポートで「足元堅調」と強調したうえで「営業損益の大幅赤字を気にする向きもあろうが、人員増等に伴う人件費の増加、株式上場等に伴う一時的費用の計上があったことを考えれば、違和感はない」と指摘。決算発表での創業者でもある山田会長の発言についても「グローバル事業について注力するものの、投資効率をきちんと見極めつつ規律ある投資を行っていくとの説明があり、弊社ではこの言葉が将来業績に対する安心感を改めて与えることになると受け止めている」とした。

   とはいえ、上場時より株価が低迷しているのは事実。大型新興企業として投資家の注目度も高いメルカリだが、着実に実績を示していかなければ株価が上昇気流に乗るのは難しいと言えそうだ。

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