2019年 11月 19日 (火)

高橋洋一の霞が関ウォッチ
突っ込みどころ満載 白川・前日銀総裁の新著と「本音」

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消費税増税との関係

   リーマンショック後の超円高に関するところに、それが端的に表れている。当時各国中央銀行は失業率の上昇をおそれて、大幅な金融緩和を行ったが、日銀はやらなかった。その結果、円が各国通貨に比べて相対的に少なくなったので、その相対希少性から猛烈な円高になった。これで苦しんだ企業は多かった。しかし、その無策を反省するでもなく、「実質為替レートでみたら大した円高でないので、それを言うと叩かれるから放置した」という趣旨の記述が著作中にある。逆にいえば、名目的な円高は大したことないのになぜ大騒ぎするのか、という彼の告白である。これには驚いた。実質だけを見てデフレで実質所得が高くなるからいいだろうという、典型的な「デフレ思考」である。その当時円高に苦しんだ人は、この白川氏の本音を聞いてどう思うだろうか。

   このほかにも、人口減少デフレ原因論を長々と書いていたのにはあきれた。たしかに5年ほど前には一世を風靡したが、今でも人口減少は続いているが、デフレは脱却しつつあるので、もう否定されているものだ。

   また、日銀の所管外である日本財政について、危機であると本当に信じ込んでいるようだ。そのために、消費増税積極論者である。

   2%のインフレ目標であるが、達成できなかったのは、2014年4月からの消費増税が原因である。消費増税までは、白川氏が反対していた異次元金融緩和政策によってインフレ率はいい感じで上昇していた。14年5月には、消費増税による見かけの上昇分を除き、インフレ率は1.6%まで上昇していた。消費増税がなければ、14年年内にも2%達成は確実であった。しかし、消費増税により長期的な消費低迷に入り、それとともにインフレ率上昇にもブレーキがかかり、今日に至っている。

   こうした現実をみていると、白川氏はまさにデフレ大好き人間なのだと妙に納得してしまう。この人が今も日銀総裁でなくて本当によかった。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわ ゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に 「さらば財務省!」(講談社)、「『年金問題』は嘘ばかり」(PHP新書)、「米中貿易戦争で日本は果実を得る」(悟空出版)など。


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