2024年 4月 25日 (木)

理系が愛するスポーツ「キムワイプ卓球」 競技者団体は創立10年、会員は550人以上も

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   福原愛さんの引退や、「Tリーグ」の発足もあって、このところ卓球の話題をよく耳にする。そんななか、卓球に似たあるスポーツが、じわりじわりと普及しつつあるのをご存じだろうか。

   その名も「キムワイプ卓球」。理系学生や研究者に愛好者が多く、競技者団体は、この秋10周年を迎えたという。いったいどんな競技なのか。

  • 理系研究者に愛される「キムワイプ」
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  • キムワイプ卓球をしてみた
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会員数は550人以上

   キムワイプとは、米キンバリー・クラーク社の紙製ウエス(油分などをぬぐう布)で、日本では日本製紙クレシアが販売している。パルプが原料だが、ティッシュペーパーよりもゴワゴワとした触感で、毛羽立ちも少ないのが特徴だ。水に溶けにくいため、理系の研究室では実験用具のふき取りなどに重宝されている。

   そんなキムワイプを使ったスポーツが「キムワイプ卓球」だ。箱をラケットに見立て、球を打ち合うこの競技。「月曜から夜ふかし」(17年10月30日)で東京大学のキムワイプ卓球会が紹介されるなど、徐々に知名度を高めつつある。

   競技者団体の「国際キムワイプ卓球協会(KTTA)」も存在し、公式サイトによると2008年9月設立とのこと。意外と長い歴史を持つようだ。本部所在地が「冥王星2番地」と遠いため、メールで問い合わせたところ、代表理事の岩月憲一さんから返事が届いた。

   岩月さんによると、現在の会員数は550人以上。アンケートベースだが、会員は大学生や大学院生、高専生が多く、大学教員や企業の研究者、高校生まで幅広くいるという。キムワイプが世界展開されているため「国際」を関しているが、事実上の活動範囲は日本国内にとどまっているそうだ。

高校から10年間、キムワイプ卓球の事を考え続けてきた

   キムワイプ卓球に出会い、魅了された経緯も聞いた。

「私は高校時代にキムワイプ卓球に出会いました。このような面白い試みを時間的そして地理的に突発的なものにしておくのはもったいないと感じ,全国的に統括・展開していくことが望ましいと考え,協会を創立し,代表に就任しました。以来10年,キムワイプ卓球の事を考え続けてきました」

   競技の魅力は「誰でも馬鹿馬鹿しさに便乗できるところ」。キムワイプそのものを使うのは、理系の中でも生命科学系・化学系などに限られるというが、競技の概念やルールについての研究が進む今では、「アカデミックであること」を唯一の条件に、人文系も含めて自由に楽しめるのだそうだ。

   ちなみにKTTAでは、キムワイプ卓球を「サイエンティフィック・スポーツ」と位置付けていて、同類には「マイクロピペットダーツ」「シンクロナイズド電気泳動」「キムタオルカーリング」などがあるとしている。

キムワイプ卓球とは「うまくいかないことを楽しむもの」

   全国各地での「キム卓」活動を聞くと、KTTAの団体会員である東京大学と東京工業大学のサークルについて教えてくれた。

「東京大学の団体は我が国最初の大学キム卓サークルであり,団体の規模・継続性,また先進的な取り組みなど含めてキム卓会をリードする存在です。東工大の団体は,工大祭での出展がメインですが,集客力では東大を上回っており,話題性の高さが際立ちます」

   その他の大学などでもサークルが出来たり消えたりしているが、若月さんは「なかなか継続的に活動するのが難しいようです」と分析している。

   最後に、これからキムワイプ卓球を始めたいと考えている読者向けに、コツを教えてもらった。

「秋の大学祭シーズンはキムワイプ卓球に触れる絶好のチャンスですし,お金もかかりませんから,行かれるのが良いと思います。キムワイプ卓球そのものは,うまくいかないことを楽しむものですので,気軽に,会話を楽しみながら,上手に打とうなどと考えずやってみるのが良いのではないでしょうか」

実際にやってみると...

   学園祭が待ちきれない筆者は、とくに教えを受けないまま、ひとまずやってみることにした。ずっと文系&文化部だった私だが、卓球は人並みな自信がある。東急ハンズでキムワイプ(S-200)を購入し、ピンポン玉片手に編集部の奥へ。カコン、カコン、カコン、カコン......。いつも編集会議で囲んでいる長机が、ケミカルな香りに包まれた(気がした)。周囲の目は、ピンポン玉のように白いが、楽しい。

   これはぜひメールではなく、会って謝意を伝えたい。本部は冥王星だが、公式サイトによると「日本支部東京支局」は編集部と同じく、東京メトロ麹町駅が最寄りらしい。しかし、散歩がてらグルグルと歩いてみたが、地図に書かれた「麹町駅7番出口」も、住所の「零番町」も、残念ながら見つけられなかった。

(J-CASTニュース編集部 城戸譲)

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