2024年 4月 26日 (金)

東京都マスコット「ハリーくん」が自民党にキレた 「とんでもない額を流そうと...」

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   東京都財務局がツイッターで、国政政党である自民党の税制調査会に公然と苦言を呈したとして、物議を醸している。

   都から地方へ税収を再配分する措置について、検討を進める「自民党の税制調査会」を名指し。ハリネズミのマスコット「ハリー」が怒りながら発言する形で「とんでもない額を東京都から地方へ流そうとしているんだって!」と投稿した。都の担当者はJ-CASTニュースの取材に、「何かを煽る意図は全くありません」と話している。

  • 東京都財務局の3日のツイッター投稿
    東京都財務局の3日のツイッター投稿
  • 東京都財務局の3日のツイッター投稿

「とんでもない額を東京都から地方へ流そうとしているんだって!」

   都財務局のツイッター投稿があったのは2018年12月3日。「ハリーのつぶやき」として、怒りマークを付けたハリーのイラストとともに、

「自民党の税制調査会が、東京都の税収のとんでもない額を東京都から地方へ流そうとしているんだって!! #小池都知事 #東京都」

と、税収の再配分をめぐる議論に苦言を呈した。

   「自民党の税制調査会」では、都市の地方法人2税(事業税、住民税)の税収が地方に比べて大きくなっている状況を是正するための議論がなされている。1日には、都に納められる事業税のうち、約5000億円を地方に再配分することを検討すると報道されていた。19年度税制改正大綱に盛り込むという。

   実施されると、既に決定している5000億円規模の再配分と合わせ、都の減収額は1兆円規模に膨らむ。一方で17年度の都の税収は約5兆2000億円となっている。

   「都民のために使って!」と、投稿内容自体に理解を示す向きもある。ただ、同アカウントはこれまで「与党」という言葉を使うことはあったものの、「自民党」と特定政党の名前を明示したのは初めてだった。マスコットが発言する体を取っているが、自治体の行政機関が国政政党に公然と苦言を呈したものと受け取られたようで、

「自民党を名指し批判かよ。タガが緩みきっているな」
「都の公式アカウントで自民党批判。もうやりたい放題だね」
「個人的に財務局の公式マスコットキャラクターを使って一政党の批判をするっていうほうがとんでもないように感じるんですが」

といった反応が相次いだ。1投稿あたりのリプライ数はここ最近10件程度、多くても50件ほどで推移していたところ、今回は140件を超えている。

「数千億円規模という数字がある意味軽々しく報道にも出ています」

   都財務局の担当者は7日、J-CASTニュースの取材に、「自民党」と名前を出したことについて、

「実際に自民党の税制調査会で検討されていることを、事実として書かせていただきました。『自民党』と政党名を出したのは、何かを煽る意図は全くありません。税制改正の議論をしていたのが自民党だったので出したものです」

と話した。仮に他党が同様の議論をした場合でも、その政党名とともに発信していたという。その上で、

「既に5000億円規模の地方移転が決まっており、これで移転は終わりというのが以前からの我々の主張です。ところが、さらなる上乗せを検討し、数千億円規模という数字がある意味軽々しく報道にも出ています。東京都にとって非常に厳しいものです」

と述べた。

   都はかねてから税収の地方への再配分に難色を示している。11月15日には「地方法人課税の『偏在是正措置』に関する都の見解」を発表し、見直しを訴えていた。

   その中では、老朽インフラの整備、東京五輪・パラリンピック経費などで、都の財政需要は「今後25年間で累計約15.2兆円増加すると見込まれている」としたほか、都が国際競争を見据えた施策を進めることにより「都以外の地域にも約2.8兆円の経済波及効果と約17.2万人の雇用効果が生じる」と推計。「(都の)活力を削ぐような税制度の見直しは日本の成長にプラスにならない」と断じた。さらに、「国の検討している新たな『偏在是正措置』は、むしろ(国から自治体に配分される)依存財源の割合を高めるものであり、その意味でも地方分権の動きに逆行している」と主張している。

   上記の都財務局の担当者は、「『見解』は世に広めるためのものですし、チラシやポスターでも現状を訴えてはいますが、なかなか都民の方々に伝わりづらいです」とし、

「東京都が置かれている状況をより分かりやすく伝え、知っていただくにはどんな方法がいいかと考える中で、ハリーとメリーを通じ、ツイッターで発信するようになりました」

と話した。

「#小池都知事」の意味は?

   ハリネズミの「ハリー」とヒツジの「メリー」は、「メリハリをつけた予算」をもじった都財務局のマスコットで、ツイッターには10月頃から登場。それまで事務的だった投稿内容は変わり、都としての考えを平易な言葉で発信するようになっている。特に多いのが、今回のような税収の偏在是正措置の動向に関するものだ。

   投稿には「#小池都知事」というハッシュタグが付されており、「(小池百合子)知事が書けって言ってたの?」といった疑問も示されている。これについて担当者は、「ツイッターは財務局の裁量で運用しています」とした上で、

「税制に関しては知事が前面に立つこともございます。メリーとハリーを通じて発信しているものは知事とも共有しているような内容です」

と述べた。小池知事は4日の都議会での所信表明でも、「東京を標的とした税制度の見直しは、断じて認めることはできません」と述べていた。

   一方、今回の投稿が物議を醸していることについて財務局担当者は「リプライの中身に対する見解は控えさせていただきます」としていた。

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