2024年 4月 20日 (土)

巨人の補強成功を導く「原監督の言葉力」 転職のプロが分析すると...

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   2018年オフ、巨人はFA(フリーエージェント)での補強をはじめとし、他球団から次々と選手を獲得して大型補強に成功した。戦力補強において核となってフル回転したのが原辰徳監督(60)だ。必要とあらば直接、交渉のテーブルにつき、時には熱いメッセージを送って口説き落とす。「転職」先を求める野球選手たちは、なぜそこまで原監督に惹かれるのか。そこでJ-CASTニュースは、中途採用のプロフェッショナルに話を聞いてみた。

   今オフ、国内の他球団から巨人に移籍してきた主な選手は、丸佳浩外野手(29)、炭谷銀仁朗捕手(31)、中島宏之内野手(36)、岩隈久志投手(37)ら4選手。なかでもFAの目玉であった丸外野手と、日米通算170勝の岩隈投手の去就に大きな注目が集まった。激しい争奪戦が繰り広げられるなか、両選手ともに複数の球団と接触した末、最後に選んだのが巨人だった。

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「一発やってやろうぜ」

   巨人との交渉において、それぞれの選手が口をそろえるようにして原監督の言葉が移籍の決め手となったと告白している。

「戦力として一緒に戦ってほしい」(岩隈)
「ジャイアンツに新しい血を入れてくれというか、カープでやってきた、いいモノをジャイアンツに持ち込んでやってもらいたい」(丸)
「一発やってやろうぜ」(中島)

   炭谷捕手の場合は、大塚球団副代表兼編成担当が原監督からのメッセージを託され、交渉の場で次の言葉を炭谷捕手に伝えたという。「優勝するために、捕手の要である炭谷選手がどうしても欲しい」

   現場指揮官の直接出馬による交渉は、プロ野球界だけではなく、一般の転職市場でもこの方法が導入され始めているという。株式会社リクルートキャリアによると、ここ最近、企業の人材確保にあたり、人事が孤軍奮闘するのではなく、配属先の職場長や同僚が採用活動を主導する「職場スカウト採用」のケースが増えてきたという。

求められる入社後の「リアル」

   従来の手法とは異なり、職場長や同僚が採用活動に関わることで、仕事の進め方や習慣、働く環境を共有し、将来のチームメイトとして入社後の「リアル」をすり合わせることが可能となる。また、「社会人インターンシップ」などを開催し、職場情報を開示する企業が増えているのも最近の傾向だという。

   株式会社リクルートキャリアが転職決定者1201人を対象としたアンケート(2018年6月発表)によると、「入社を決めるにあたって誰から影響を受けたのか」との設問に対して、44.9%が「配属される職場の職場長・責任者」と回答し、最も高かった。「入社企業の人事」と回答したのは32.4%で、これに「友人・知人」の27.4%、「入社企業の経営者」の23.9%が続く。

   一方で配偶者・パートナーがいる回答者(595人)に絞った結果を見てみると、入社の意志決定にあたっては「配偶者」の影響が64.0%と、最も高い数字を示した。転職に際しては家族の生活に大きく影響を与えるため、転職先を決めるにあたって配偶者・パートナーに相談していることが読み取れる。

「人生を賭して作りたい世界を言霊で言う。腹の底から言えるリーダーは強い」

   原監督の持つ言葉力について、リクナビNEXT編集長の藤井薫氏は次のように解説する。

「リーダーの共通項だと思っていますが、人生を賭して本当にその世界を作りたいと思っているか、というのが言葉に出ると思っています。これぐらい給料が高いよとか、これくらい休日があるよとか、環境面を言う前にリーダー自身が『どうやってもこの世界を作りたい。そのためにこの船に一緒に乗ってくれと』いうように口説く順番があります。その人が人生をかけてその世界をどうやっても作りたいと思っているかが、言霊になって出るのだと思います。原監督は巨人というものが持っている大きなもの、責任があると思います。巨人が持っている野球という世界を実現したいのだと。もっと高いところに上っていかなくてはならない。そのためにあなたにぜひ来てほしい。そういう順番が強いのではないかと思います。人生を賭して作りたい世界を言霊で言う。腹の底から言えるリーダーは強い」

   また、自動車業界の採用・転職の支援を行うハイキャリア・グローバルコンサルティング部の所寿紀氏は、原監督の魅力について次のように指摘した。

「覚悟感がとても大事だと思います。私も企業の採用をお手伝いさせていただいている経験から、企業のトップや職場長の方と原監督を照らし合わせると、その人の人生に寄り添って、一緒に働く仲間たちを成長させるとか、入社してくれる方にとってのベストを考えて発言される方なのではと思います。よくビジネス上では、サラリーマン社長と言われることもありますが、『自分の任期の時だけうまくいっていればいい』というところが少しでもチームメンバーに見えたとしたら、すごく愕然、落胆すると思います。リーダーシップという観点でいえば、限界を見せないところも共通しているかもしれません。巨人というチームを強くするためには自分はここまでやりきる。そして、その後の未来をも描ききってスカウトをしていらっしゃるのではと。未来の可能性まで含めていかに覚悟を持って伝えることができるか。そこが強さだと思います」

   大型補強に成功した裏では、FAによる人的補償で西武に内海哲也投手(36)、広島に長野久義外野手(34)が移籍するなどベテラン選手の流出が続いた原巨人。2019年シーズンの行方はいかに...。第3次原政権の船出に注目される。

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