2024年 4月 26日 (金)

簡易版Suicaがキャッシュレス戦争を制する? 覇権うかがうJR東の深謀

圧倒的な発行枚数をそのまま武器に

   簡素化で安価にする方針は、以前から報じられていた。18年4月には日本経済新聞(19日付朝刊)が、JR東が「廉価版Suica」を研究開発中とし、深沢社長が海外進出の可能性を語っている。同氏は、現状のシステムをそのまま輸出するには「性能が過剰すぎ、採算が合わない」と指摘。読み取り速度などを見直し、コストを抑えたシステムの開発方針を示唆した。

   具体的にどうするかは、産経記事に詳しい。深沢氏は、クラウドを活用して、「端末側で情報を持たないシステムにする」という。具体的なことは書かれていないが、端末で行っていた処理をクラウド上で行うようになるとすれば、処理時間は長くなる可能性があるが、各端末の機能は最小限で済むようになる。

   性能を削ってでも、普及に力を入れる。その背景には、Suicaにかける期待がある。JR東グループは18年夏、今後10年間の経営ビジョンを示す「変革2027」を発表した。そこによると、17年度時点の収益比率は、輸送サービスと、生活サービスやIT・Suica事業が「7:3」。これを27年度ごろまでに、「6:4」へ軸足を移すのが目標だ。

   Suicaの発行枚数は18年3月末時点で、6942万枚。Edyの1億枚(16年11月)には及ばないが、「PayPay(ペイペイ)」(400万人)のようなQRコード決済と比べれば、まだまだ優位にある。また、20年近くの歴史で、知名度も高い。使える駅が増えて、Suicaユーザーが増えれば、新興キャッシュレス決済には脅威になりそうだ。

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