2019年 8月 19日 (月)

「超大型旅客機の時代」の終焉は近い? 「A380、生産打ち切り」が意味するコト

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   超大型旅客機のエアバスA380型機が、商業運航開始からわずか14年で生産が打ち切られることになった。最大顧客のエミレーツ航空(UAE)がA380の発注の一部を取り消し、受注残がなくなって生産体制の維持ができなくなったためだ。

   エミレーツはA380よりも座席数が少ない最新鋭大型機、A350などを代わりに発注し、「悲しいことだが、置かれている現実を受け入れる」と異例の声明を発表。ジャンボジェットとして知られたボーイング747型機も、実質的に製造が続いているのは貨物専用機だけで、超大型旅客機の時代が終わりを迎える日も近そうだ。

  • エミレーツ航空のエアバスA380型機
    エミレーツ航空のエアバスA380型機

世界のA380の半数近くがエミレーツ

   A380は「空飛ぶホテル」の異名で知られ、総2階建て。エアバス社の標準仕様の場合で、3クラス(ファースト、ビジネス、エコノミー)で525人、全部エコノミークラスにすると853人が乗れる。

   シンガポール航空が07年10月、最初にA380を商業運航し、08年8月にエミレーツが続いた。エミレーツがA380の最大顧客で、19年1月末時点でA380を162機発注。そのうち109機が納入・運航されている。全世界で運航されているA380は232機。半数近くをエミレーツが占めることになる。日本の航空会社では、スカイマークが10年に発注したが、同社の不払いが原因でエアバスが14年に契約を解除。全日空(ANA)は成田-ホノルル路線に19年5月に就航予定だ。

   A380の製造元の仏航空大手のエアバス社と、エミレーツの19年2月14日付の発表によると、エミレーツはA380の発注を123機に減らし、エアバスは2年かけての残った発注分の14機をエミレーツに納入する。その結果として「実質的なA380の受注残がなくなった。ここ数年にわたって他の航空会社への売り込みを行ってきたが、生産を維持する根拠がなくなった」(エアバス社のトム・エンダース最高経営責任者(CEO))として21年で生産を打ち切ることを決めた。エンダース氏が出したコメントでは、A380は乗客からの評価は高かったことして、「本日の発表は、私たちや全世界のA380コミュニティーにとって痛みをともなうものだ」としている。

超大型機でなくても長距離路線で採算取りやすく

   エミレーツのシェイク・アハメッド会長兼CEOは、

「発注を断念せざるを得なかったことに落胆しており、この計画を維持できなかったことは悲しいことだが、私たちが置かれている現実を受け入れる」

とコメント。2030年代まではA380を同社の主力機種として運航するとしている。

   エミレーツはA380の発注を取り消すと同時に、最新鋭大型機のA330-900型機を40機、A350-900型機を30機発注することを発表している。それぞれの座席数は287~400、325~440で、A380に比べてかなり小ぶりだ。商業飛行の開始はそれぞれ18年12月、15年1月。

   エミレーツは、本拠地のドバイから超大型機でロンドンやニューヨークといった離れたハブ空港を結ぶ戦略をとっていた。だが、ボーイング787型機やエアバスA350といった最新鋭機は燃費性能が向上して航続距離が伸びたため、超大型機でなくても長距離路線で採算がとりやすくなり、A380の優位性が薄れていた。これに加えて、主に中距離を飛ぶ格安航空会社(LCC)もシェアを拡大し、競争環境が激化している。エミレーツが言う「現実」は、こういったことを指しているとみられる。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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