2019年 10月 16日 (水)

陰謀論に囚われる日韓、これで北朝鮮問題を解決できるのか 東大教授・木宮正史さんインタビュー

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北朝鮮非核化、日本が果たせる役割とは

―― よくあるのが「日本がつまはじきになる」という議論です。

木宮: 私はやはり今のままの政策を取っていると、つまはじきになってもやむを得ないところがあると思うんですよね。ある種、韓国が米朝の仲介をするという形で非核化とそれに対する見返りを交渉している中で、日本が従来選択してきたのは「北朝鮮が非核化するはずがないじゃないか、だからだまされるな」という基本的スタンスです。この後、米朝交渉が不調に終われば、日本からすれば「言った通りじゃないか」となるのかもしれませんが、それが日本にとって良いことかどうかは別問題です。決して「北朝鮮を信じろ」ということではなく、依然として具体的な行動が見えていないことは確かですが、北朝鮮が非核化に向けた方向性を示している以上、日本も北朝鮮の判断を鈍らせないように「枠をはめる」ような努力をするのが合理的だと考えます。理由は二つあります。ひとつが、「元の状態」に戻るということは、北朝鮮の核の脅威が厳然として残るということで、日本にとって決していいことではない、ということ。もうひとつが、北朝鮮が約束を破れば制裁強化などの強硬論に回帰すればよく、「一度緩めると取り返しがつかなくなる」という論理は根拠がないと思うからです。

―― 韓国にとっての日本の「利用価値」に関する議論がありましたが、日本はどういった形で核問題に関与することができるのでしょうか。

木宮: 今の最大の問題は、確かにトランプ政権は北朝鮮の非核化に対するプロジェクトに何とか乗ろうとしていますが、米国全体、特にワシントンの外交エスタブリッシュメントからみると、北朝鮮について「とてもじゃないけど信用できない」という意見が非常に強い、ということです。だからこそ韓国はトランプ大統領や、その一部の取り巻きだけに依存してるわけで、凄くリスクがある状態です。トランプ大統領が少しでも機嫌を損ねたら終わり、となりかねません。トランプ大統領を説得するのも大事ですが、ワシントンの外交エスタブリッシュメント、特に野党の民主党を含めて、もっと説得する必要があります。その点、韓国の努力はまだまだ不十分です。韓国が本当に米朝会談を成功させたいのであれば、ワシントンへの太い人脈を持つ日本を「日本にとってもこんなにいいことがある」と説得した上で、日本を通じて「韓国の考えていることはこんなに利益があるし、そんなに非現実的な話ではない」とワシントンの外交エスタブリッシュメントに対して訴える、ということは十二分にありうると思います。ただ、文在寅政権を見ると、今進めている政策に日本を関わらせるということに対してあまり乗り気ではないように見えます。朝鮮半島の問題に対して日本が関わることに対する心理的な拒否感があるようです。それでも、今のままトランプ大統領頼みで事が進むとすると、トランプ大統領がちょっと翻ると韓国が孤立する危険性が非常に高いと思います。

―― 日本もしっかり支える余地が大いにある、ということですね。

木宮: 北朝鮮が非核化すると言っている以上、日本の安全保障にとって脅威が減っていくことは良い事です。問題はどの程度信頼性があるのか、本当に実現可能なのかどうか、実行するのかどうか、ということに対する不信感です。そこがクリアされれば日本に対して悪いことは決してないと思うんですよね。
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