2024年 4月 27日 (土)

現存最後のパノラマ型クロ381形、解体へ 日本の鉄道車両保存、課題はどこにあるのか

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鉄道会社頼みの車両保存

   鉄道会社勤務歴もある鉄道ライターの枝久保達也さんは、

「車両保存は鉄道会社にとって文化事業ではありますが、営利企業として事業性も考慮せざるを得ないので、企業判断で決まれば解体撤去もやむを得ないことは確かです」

   
と語る。リニア・鉄道館にせよ、鉄道博物館(さいたま市)や京都鉄道博物館(京都市)にせよ、日本の鉄道関係の博物館はほとんどが企業博物館の域を出ず、展示方針も企業次第であるが故、収益を考慮する鉄道会社の施策に翻弄されざるを得ないと枝久保さんは指摘する。鉄道業界自体に、鉄道遺産を文化財として保全する姿勢が未だ定着していないのだ。

   枝久保さんによれば博物館で保存されている車両の展示方針も館によってばらつきがあり、改装されて遊具のような扱いの車両や、陳列のみで見学できない例もある。新幹線車両を入れる代わりに在来線車両の展示を縮小するのも、東海道新幹線とリニア新幹線を看板とするJR東海としての合理的な判断だろうと推察できる。

   また以前は廃車車両を鉄道会社から個人に譲渡・売却するケースもしばしばあったが、屋外で状態を保つのは容易ではなく、維持できずに解体される例も少なくないそうだ。アスベスト規制もあって鉄道会社に頼らない車両保存の道は、現状では極めて厳しい。

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