2019年 6月 17日 (月)

600ml級が定番に...「大きめ」ペットボトル飲料なぜ増えた? 反映する様々な社会変化

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   暑くなると飲み物が欠かせない。コンビニでペットボトル飲料を買おうとしたのだが、ふと気になったことがある。携帯サイズのボトルはかつて多くが「500ミリリットル」だったのが、いつの頃からか「600ミリリットル」あるいはそれ以上の容量が定番になりつつある。

   「大型化」の理由は何なのか。飲料メーカー各社に聞くと、背景には昨今の社会事情を汲んだ側面もあるようだ。

  • (左から)600mlの「伊右衛門」(サントリー食品インターナショナル)、670mlの「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園)、600mlの「キリン・ファイア・ワンデイ・ブラック」(キリンビバレッジ)(画像はいずれも商品リリースから)
    (左から)600mlの「伊右衛門」(サントリー食品インターナショナル)、670mlの「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園)、600mlの「キリン・ファイア・ワンデイ・ブラック」(キリンビバレッジ)(画像はいずれも商品リリースから)
  • ペットボトルの背を低く抑えた470mlの「お~いお茶 新緑」(伊藤園)(画像は商品リリースから)
    ペットボトルの背を低く抑えた470mlの「お~いお茶 新緑」(伊藤園)(画像は商品リリースから)

600、650、660ミリリットル

   コンビニの冷蔵庫を眺めてみると、緑茶商品はおなじみの「伊右衛門」(サントリー食品インターナショナル)、「お~いお茶」(伊藤園)、「生茶」(キリンビバレッジ)がいずれも600ミリリットルある。他のお茶系商品も大きい。「やさしい麦茶」(サントリー食品インターナショナル)は650ミリ、「十六茶」(アサヒ飲料)は660ミリもある。

   中でも巨大なのは「健康ミネラルむぎ茶」(伊藤園)の670ミリ(コンビニ限定)だ。インターネット上では大容量ボトルの筆頭格とされており、昨今では価格据え置きのまま容量が減る現象を指して「ステルス値上げ」と呼ぶ風潮もある中、その逆を行くような、抜きん出た大きさは人気が高い。長らくイメージキャラクターをつとめる笑福亭鶴瓶さんを引き合いに「やっぱ鶴瓶って神だわ」と書き込まれることもしばしばある。

   「以前は一律500ミリリットルとされていましたが、昨今ではニーズが多様化し、大き目のものも増えていますね」。伊藤園の古川正昭・広報室長は2019年5月28日、J-CASTニュースの取材に「巨大化」の背景を述べる。

「2リットルなどの『ファミリーサイズ』に比べ、携帯できる『パーソナルサイズ』の方が、規模が伸長しています。その理由として考えられることはいくつかあります。

まず現代社会は核家族や単身世帯が増加し、世帯あたりの人数が減少傾向にあります。2リットルボトルを冷蔵庫に入れておいても飲み切れないことがあるんですね。商品の選択肢も増えています。それならパーソナルサイズのボトルを買おう、と考えるのは自然なことです。

その中で、止渇性(喉の渇きをうるおすこと)が高くグビグビ飲みたい物は『量』が求められますから、特に大きめになってきていますね。その代表格が麦茶といえます」

東日本大震災、熱中症対策...各社の分析

   聞けば、清涼飲料の500ミリボトルの販売がはじまったのは1996年ごろ。600ミリボトルが登場したのはここ数年のこと。ペットボトル容器の製造技術が向上したことも、大容量化に一役買ったという。

   約20年の間に何があったか。古川さんはボトル「大型化」の背景に、東日本大震災の影響もあげる。

「私の主観も入ってしまいますが、震災後に『水分を常時携帯しよう』という意識が大きくなったと考えています。震災時、スーパーもコンビニも開いていなければ、電気も止まって自販機も動いていないという状況でした。以降、外出時に水分を持ち歩く、それもできれば大き目が望ましい、と思う方が増えてきたのではないでしょうか」

   一方、サントリー食品インターナショナルの広報担当は、取材に「商品によって増量を行なった背景・理由はそれぞれですが」と前置きしながらも、

「熱中症対策の意識の高まりを含めて、水分補給の需要が高まる夏場に向けて増量し、商品力強化を図っています」

とボトル「大型化」の背景に熱中症対策をあげる。「増量だけでなく中味やパッケージを同時にリニューアルし、お客様ニーズを捉えた結果、市場活性化、売上貢献に繋がっていると考えています」と、数字も上々のようだ。

   公益社団法人東京都医師会のウェブサイトでは「熱中症の予防」の一手段として、「水分補給は計画的、かつ、こまめに飲水する。特に高齢者はのどの渇きを感じにくくなるため、早めに水分補給をしましょう。普段の水分補給は、健康管理上からもお茶や水がよいでしょう」としている。持ち運べてこまめに飲めるお茶や水が求められるのも頷ける。

「勤務中に時間をかけて楽しめるよう、1本で満足できる大容量に」

   キリンビバレッジではお茶以外のビッグサイズも目立つ。スポーツドリンクの「キリン・ラブズ・スポーツ」は555ミリ、さらに4月新発売のコーヒー「キリン・ファイア・ワンデイ・ブラック」は600ミリで提供しており、コーヒー商品としては特筆すべきサイズ感といえる。

   キリンホールディングスの広報担当は、大容量にしたのは「店頭で目を引きやすくする」ねらいもあると取材に明かす。もちろんニーズにも応えている。

「『ワンデイ』は、仕事中にコーヒーを飲むオフィスワーカーをターゲットとしているため、勤務中に時間をかけて楽しめるよう、1本で満足できる大容量にしました。結果、『長い時間楽しむことができる』『コストパフォーマンスが良い』とお客様にも好評いただいています。『生茶』も、少しでも多く飲みたいというお客様向けに大きくしております。主に自販機で販売している『ラブズ・スポーツ』も水分補給飲料として大容量にしており、自販機定価130円で555ミリリットル商品は限定的であるため、お得感もあり好評いただいています」

「逆に小さいボトルへのニーズも生まれた」

   一方で、「パーソナルサイズは、必ずしも大きければいいというわけではありません。量を飲まない方もいますし、持ち運びづらいという方もいます」と話すのは、前出の伊藤園・古川さん。そんな声に応えたのが、18年5月に発売した「お~いお茶 新緑」だという。

「これはパーソナルサイズとしては背が低いボトルに設計しており、容量は470ミリリットルです。女性の小さめのカバンなどにも収まることを意識し、高さを調整しましたところ、おかげ様で昨年はご好評をいただきました。全体的にボトルサイズが大きくなっていることで、逆に小さいボトルへのニーズも生まれたといえますね」

   サントリー食品インターナショナルの前出の広報担当も、

「お得感を感じご愛飲いただいているお客様がいらっしゃる一方で、『車のボトルホルダーに入りづらくなった』などお声を頂戴することもあります。このようなお声に対しましては真摯に受けとめております。今後の商品開発に活かせていけないか社内で検討をしていきたいと考えています」

と新たな課題が見つかっていることを明かす。ペットボトル「大型化」をめぐる試行錯誤は続きそうだ。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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