2024年 4月 20日 (土)

大村知事が「愛知県に慰安婦像を設置する会会長」? 拡散の署名は「成りすまし」の可能性大か

   韓国への輸出規制撤回を求める署名サイトに、愛知県の大村秀章知事と同名の賛同者が一時掲げられ、「本人なのか」「デマではないか」と波紋が広がった。

   この賛同者は、「愛知県に慰安婦像を設置する会」の会長となっているものの会の実態は不明で、署名サイト側は、「あまりに不自然」として名前を削除した。

  • 大村知事と同名の賛同者が一時掲載された署名サイト
    大村知事と同名の賛同者が一時掲載された署名サイト
  • 大村知事と同名の賛同者が一時掲載された署名サイト

ほかにもタレント、ジャーナリストの名前が並ぶが...

   この署名サイト「韓国は『敵』なのか」は、世話人として国立大学名誉教授、大手出版社社長や弁護士ら7人の名前を挙げて、2019年7月26日に開設された。呼びかけ人として、同月29日現在で世話人も含め78人の著名人の名前が書かれている。

   声明では、「半導体製造が韓国経済にとってもつ重要な意義を思えば、この措置が韓国経済に致命的な打撃をあたえかねない、敵対的な行為であることは明らか」だと主張。「ネトウヨやヘイトスピーチ派がどんなに叫ぼうと、日本と韓国は大切な隣国同士であり、韓国と日本を切り離すことはできない」「安倍首相は、日本国民と韓国国民の仲を裂き、両国民を対立反目させるようなことはやめてください」と呼びかけ、輸出規制に反対し、即時撤回を求めるとしている。

   8月15日が署名の第1次締め切りとされており、前日までに約8300人の署名が集まったとした。名前の公開をOKとした賛同者のリストもあり、本人かどうかよく分からないものの、タレントやジャーナリストといった著名人の名前もあった。

   その中で、今回物議を醸したのは、8月5~8日までの賛同者として、「大村秀章(愛知県、『愛知県に慰安婦像を設置する会』会長)」とリストで紹介されていたことだ。

「その団体の会長をしている事実は、把握していない」

   大村知事は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」での少女像展示中止などを巡って、芸術祭の実行委会長として行政不介入の立場を取り、展示に異論を唱えた河村たかし名古屋市長らとツイッター上で意見を交わしていた。

   それだけに、ツイッター上などでは、署名サイトに載った賛同者を大村知事だと勝手に決め付ける向きもあり、著名人の中には、「愛知県に慰安婦像を設置する会」の会長が大村知事であることを前提にツイートするケースもあった。

   ただ、大村知事は、8月13日の定例会見で、少女像展示について当初は、「本当にやるのか。展示はやめてもらえないか」「実物ではなく、パネルにしてはどうか」などと芸術監督の津田大介氏に求めたと明かしている。

   また、「愛知県に慰安婦像を設置する会」をネット上で検索しても、実態がよく分からない状態だ。ほかの著名人賛同者についても、本人かどうか疑わしい人もいるとの声も出て、大村知事を思わせる名前について、「これデマじゃね?」「日付が新しすぎだな」「騒動後に誰かがやったものかと」といった指摘が出ていた。

   愛知県の秘書課は15日、J-CASTニュースの取材に対し、問い合わせの電話が数件あったとしたうえで、こう答えた。

「ツイッター上で話題になっているというのは、聞いています。しかし、うちとしては、そのような団体の会長を知事がしているという事実は把握していません。知事が署名サイトの賛同者になった事実についても、把握していないです」

「本人であるか、本名であるかの確認はしておりません」

   大村知事が本当に賛同者になっているかなどについて、サイト運営の担当者は8月15日夜、取材にこう回答した。

「大村知事の署名は、その肩書きを含め、あまりに不自然であり、削除いたしました」

   実際、同名の賛同者は、この日夜までに削除されている。

   この署名サイトでは、賛同者が署名に応じ、名前の公開をOKとすれば、名前と所属などの肩書が賛同者リストに掲載されると説明されている。

   タレントやジャーナリストといった著名人の名前もあるが、もし本人確認していないとすれば、成りすましによるデマが流れる恐れがあるのではといった指摘がネット上で出ている。

   こうした点について、サイトの運営者は、次のように説明した。

「本人であるか、本名であるかの確認はしておりません。署名運動において、それは不可能です。公表可、として寄せられた署名は、自動的に公表しておりますが、明らかに『いたずら』、あるいは『妨害』と思われるものについては、公表前にチェックし、削除しておりますが、非常に数が多いため、チェックを漏れて、事後において、削除することもあります」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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