2024年 4月 25日 (木)

岡田光世 「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
「禁断のアサルトライフル」に守られる思い 後編

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ドラッグに溺れた夫が手にした銃

   すぐ手に届くところに銃があることで、例えば夫とキャシーが口論になった時など、銃に手を伸ばすのでは、と恐怖を覚えたことはないのだろうか。ある調査によると、アメリカ人の成人の23%が、自分や家族が銃で誰かに脅された経験があるという。

   「彼とはとっても安心して暮らせたわ。もし誰かが家に押し入ってきても、弾丸を込めた銃をすぐ手に取ってくれるもの」とキャシーは笑った。

   そして、しばらく沈黙したあとで、「でもじつは、それが離婚を決心した理由のひとつでもあるの」と答えた。

   彼女の夫は癌と診断され、強力な鎮痛薬としてオピオイド(モルヒネのような作用のある合成麻酔薬)を医者に処方されたことがきっかけで、メス(メタンフェタミン。日本ではシャブやスピードなどと呼ばれる)のような強い中枢神経興奮作用のある、依存性の高い覚醒剤などに手を出すようになった。

   「ドラッグによって脳が侵され、夫はまるで別人になっていったわ。銃を手にとって自殺しようとしたことも何度かあって、それがいつか自分にも向けられるかもしれないと恐ろしくなったの」と話す。

   ドラッグに溺れる前の、穏やかにほほ笑む彼女の夫に会ったことがある私は、とても信じられなかった。彼は結局、離婚前の2018年暮れに、麻薬の過量摂取で亡くなった。

   銃を持つ権利を主張する人のなかにも、殺傷能力の高い銃の一般市民への販売禁止やバックグラウンドチェック強化を支持する声は強い。しかし、こうした銃規制の動きは、「銃が人を殺すのではない。人が人を殺すのだ」をモットーとする全米ライフル協会(NRA)や、共和党議員の反対で難航してきた。

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