2024年 5月 8日 (水)

岡田光世 「トランプのアメリカ」で暮らす人たち
都会と地方の断絶――忘れられた人たちの声を聞く 前編

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民主党が強いウィスコンシン州でトランプが勝ったワケ

   ウィスコンシン州は米中西部の最北に位置し、五大湖とミシシッピー川にはさまれている。日本の約半分の面積に580万人が暮らし、人口密度は日本の8分の1だ。愛称「Dairy Country(酪農の国)」のごとく、酪農の州として知られる。ミシガン湖に面する州東部の州最大都市ミルウォーキーは、ビール醸造業が盛んだ。

   この州は歴史的に民主党の地盤とされていたが、2016年の大統領選ではトランプ氏がヒラリー・クリントン氏に1%以下という僅差で勝利し、トランプ大統領の誕生につながった。同州の都市部や大学町ではクリントン支持が強かったが、モンドヴィのあるバッファロー郡では、58%がトランプ氏、36%がクリントン氏に投票した。

「アメリカはもともと農業国だったけれど、多くの人はもう何世代も前から農業と縁がなくなり、都会に住み、地方の暮らしや価値観を忘れてしまった気がする。地方の人たちは都会に比べ、素朴で誠実で謙虚だ。都会では人々が宗教から離れ、リベラルになり、仕事や社会的な成功を重視するようになった。地方では今でも家族が機能していて、伝統を大切にする。信仰を持つ人が多く、教会が地域の中心になっている。コミュティの意識が強い」

   都会と農村のギャップはますます大きくなりつつある、とナッシュは感じている。

「都会では『教育』に重きを置くのに対して、この辺りに住む人たちにとっては大切なのは、『勤労』だ。リベラルが多い都会で暮らす人たちに、その辺の価値観が理解しにくいのではないかと思う。だから、朝早くから夜遅くまで休みの日もなく、汗水垂らして働いて得た金の多くが税金に取られ、ローンを払えない学生や、不法移民のために使われるのは、納得できない。一部の民主党の支持者が声高に叫んでいる学生ローンの帳消し(student loan forgiveness)や、検問所のない国境(open border)が、その最たるものだ」
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