2024年 4月 25日 (木)

東電など4社に「思惑の不一致」 原発事業の共同化検討の行く末

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原子力損害賠償法に見直し論も

   一方、これまで原発の運転には取り組んでいないメーカー側には慎重な意見が根強い。万一、原発事故が起きた際の賠償のリスクが大きいからで、東芝の車谷暢昭・会長兼最高経営責任者(CEO)は「当社が原発(運営)事業者でないことは明確にしたい」と語っている。

   そこで、4社以外の重要なプレーヤー(最重要といってもいい)がいることを忘れてはいけない。お国、つまり経済産業省だ。

   政府のエネルギー基本計画は原発を「重要な基幹電源」と位置づけ、また原発の海外への輸出を成長戦略の中に組み込んでもいる。しかし、海外への原発は日立の英国での新設計画凍結など行き詰っている。国内でも再稼働が停滞し、新増設の見通しも立たないなど原発の将来が見通せない中で、技術や人材をどう維持していくか、「民間任せでは展望は開けない」(大手紙経済部デスク)。

   具体的に問題になるのが原発の大事故に備えた原子力損害賠償法だ。原発事業者には賠償額に上限を設けない「無限責任」を定めており、共同出資会社の設立にメーカーが二の足を踏む最大の理由とされる。

   大手紙は共同事業化をあまり大きく取り上げておらず、9月11日までに社説に書いたのは読売(9月10日)だけ。それでも、日経、産経を含め、原発推進の3紙は4社共同事業化への期待を隠さず、産経電子版「ビジネス解読」(8月27日)は「実現すれば、国内の原発事業の新手法になる可能性が高い」と評価している。

   そして、課題はやはり原賠法。日経は8月29日付朝刊の「東電など原発提携に温度差、国の関与焦点に」とする記事で、「共同出資会社の設立に向けてはこの法律の見直し議論は避けて通れない」と、制度見直しを明快に要求。読売社説も、同法の無限責任がメーカーなどにも及ぶ可能性を指摘し、「どのような制度的手当てが必要か。政府は真剣に検討しなければならない」と、同法見直しを暗に求めている。

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