2019年 10月 18日 (金)

「お笑い」と「差別」めぐる炎上は、なぜ相次ぐのか 識者に聞く背景と変化

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   お笑いコンビ「Aマッソ」が、テニスの大坂なおみ選手を扱ったネタで「差別的ではないか」と批判を浴びた問題。海外メディアでも「人種差別主義者の発言」(FOXニュース)などと報じられ、注目を集めた。

   Aマッソの漫才が問題視されたのをきっかけに、お笑いコンビ「金属バット」でも、「黒人が触ったもの座れるか」と発言があったことに批判の声が寄せられた。2つの件も含め、近年、お笑いネタで「差別的だ」として批判の声が集まる事例が相次いでいる。

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狂言の時代からあった「差別」

   2017年の大晦日に放送された番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんでSP 絶対に笑ってはいけないアメリカンポリス24時」(日本テレビ系)では、「ダウンタウン」の浜田雅功さんが米俳優エディー・マーフィーさんにふんした「黒塗りメーク」の姿をめぐって、「人種差別」など批判の声が相次いだ。

   同年9月放送の「とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP」(フジテレビ系)では、石橋貴明さん扮するキャラクター「保毛尾田保毛男」に、「同性愛者を笑っていいというメッセージを流すことは許されない」など批判的な声が多く寄せられた。

   お笑いで、「差別的だ」として批判の声が集まる事例が相次いでいる背景はどこにあるだろうか。

   お笑い評論家の江戸川大学教授・西条昇氏は、こう解説する。

「笑いには昔から差別的な要素もあり、室町時代から伝わる日本の伝統的な狂言の中にも、身体障害者をネタにした『三人片輪』という演目がある。詐欺師たちが、目が見えない、口が利けない、足が不自由と身体障害者を装って、ご主人に召し抱えられる。ご主人がいない間にみんなで酒盛りをする。主人が帰ってきて、また身障者のふりをするが、役を取り違える。近代以降、こうした差別的な笑いの多くは良識で抑えられるようになった」

   さらに西条氏は、こう続ける。

「お笑いでいうと、デブ、チビ、ハゲ、出っ歯、ブス、馬面などの身体的特徴をネタにする、ツッコミの対象にする、自虐的に自分で売り物にすることは、ある種ずっと続けられてきた部分がある。昔は普通に放送されていたネタでも、今は問題になることが多くなり、テレビのコンプライアンスはますます強化されている。ライブでタブーを扱うブラックジョークを得意とする芸人もいたが、それも今の時代には合わなくなった」

   また、西条氏は次のように分析する。

「テレビのコンプライアンスの強化の一方で、SNSでは平気で人を傷つける書き込みが溢れている。そのあたりも、若い芸人たちの感性に影響を与えているのではないか」

変わりゆく「見る側の意識」、変わらないのは...

   2つの要因を挙げるのは、お笑い評論家のラリー遠田氏だ。

   1つは、「人々の意識の変化」だという。「何を差別と捉えるか、何を問題と捉えるかという人々の意識が変わってきている。保毛尾田保毛男や顔を黒塗りにすることも、2~30年前のバラエティー番組では普通にやっていたこと。そのころに『差別だ』と問題になっていない。やっている側は何も変わっていなくて、見る側の意識が少しずつ変わっている」と捉えていた。

   もう1つが、「ネットという拡散手段ができた」こと。「Aマッソだったらイベントでやっていたことを参加者がツイートして、イベントに行ってない人もツイートを見て批判の声を広げていく。時代の変化によってネットという拡散手段ができたので、(発言が)大きく広がりやすくなっているのでは」とみている。

   一方、Aマッソのネタに批判をした人々について、「問題だ、という意見を人それぞれで言うのは勝手だが、どこまで当事者意識を持って言っているのか」と疑問視。「例えば、『身近に黒人の友だちがいて、こういうことで普段苦しんでいるので、こういう発言をされると非常に不愉快だ』など当事者意識がある批判だったらわかる。そうではなく、『こういうことを言うのは間違っているだろう』みたいな、表面的なことだけで血祭りにあげるネットの風潮がある」と指摘する。

「もちろん問題ある発言で、本人たちは謝罪や反省をすべきだと思うが、必要以上のことをやられている」

(J-CASTニュース編集部 田中美知生)

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