2019年 12月 7日 (土)

井上とドネアは再び伝説を作るのか? F原田、辰吉、西岡、長谷川...再戦で振り返るバンタム級系譜

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   2019年11月7日に行われたボクシングの井上尚弥(26)=大橋=VSノニト・ドネア(37)=フィリピン=戦が世界的評価を受けた。バンタム級の「世代交代」と位置付けられた一戦は、スリリングな展開の末、井上の判定勝利で幕を閉じた。

   海外メディアでは2019年度の「年間最高試合」と評するものもあり、日本のみならず海外のボクシングファンからも両雄の再戦を望む多くの声があがっている。

  • 井上尚弥(2016年撮影)
    井上尚弥(2016年撮影)

原田VSジョフレの第2戦は視聴率63%超

   いまや世界の「モンスター」となった井上の前に大きく立ちはだかったフィリピンのレジェンド。ドネアのファイトは、ボクシング関係者による戦前の予想を覆した。2回にドネアのパンチによって右目上に深い傷を負った井上は、眼窩底など2カ所を骨折した。ドネアは11回にボディーでダウンを喫するまで26歳の「モンスター」と互角に渡り合った。もし、ファンが望むように再戦となれば、新たな伝説を作ることになるだろう。

   過去、「黄金のバンタム級」において名勝負と称される再戦は数多く存在した。古くはファイティング原田VSエデル・ジョフレ(ブラジル)のタイトル戦だ。1965年5月18日、世界2階級制覇を目指す原田は、「黄金のバンタム」の異名を持つ王者ジョフレに挑んだ。世界戦9連続KOの驚異のレコードを誇るジョフレに対して、原田は意表を突くアウトボクシングを展開。戦前の圧倒的不利の予想を覆し、「黄金のバンタム」からベルト奪った。

   その1年後の1966年5月31日に再戦の機会が訪れる。当時、原田は23歳。対するジョフレは30歳だった。試合は序盤から激しい打ち合いが展開され、原田が得意のラッシュ戦法でジョフレを追い込んだ。初戦の判定は2-1で割れたが、再戦は明白な内容で原田が防衛に成功。この一戦は国民を熱狂の渦に巻き込んだ。テレビの視聴率は63.7%(関東地区)を記録し、まさに伝説の一戦となった。

   日本ボクシング界の「カリスマ」辰吉丈一郎も再戦で名勝負を繰り広げたボクサーのひとりだ。辰吉は1991年9月、プロ8戦目のリングでWBC世界バンタム級王座を獲得するも12月に左目の「網膜裂孔」が発覚。この影響で長期間の休養を余儀なくされ、正規王者である辰吉が休養している間に暫定王座が設けられた。その王座を獲得したのがビクトル・ラバナレス(メキシコ)だ。

タイの英雄ウィラポンは西岡、長谷川と死闘

   1992年9月17日、WBC世界バンタム級の王座統一戦が行われた。正規王者・辰吉に対して暫定王者ラバナレスは旺盛なファイティングスピリッツで攻め込んだ。打たれ強さに加え、フック、アッパーを織り交ぜた独特のファイトスタイルで辰吉に襲い掛かり、結果は辰吉の9回TKO負け。プロキャリアで初の黒星となった。

   翌1993年7月22日に辰吉は再びラバナレスと拳を交える。正規王者・辺丁一(韓国)の手の骨折によって設けられた暫定王座を争うタイトル戦で、フルラウンドにわたる激しい打ち合いの末、僅差の判定で辰吉が雪辱を果たした。また、辰吉はウィラポン・ナコンルアンプロモーション(タイ)とも2度にわたる死闘を演じ、これもまた伝説的な試合として語り継がれている。

   辰吉から王座を奪ったウィラポンにまつわる世界戦といえば、西岡利晃と長谷川穂積の2人が挙げられる。西岡は王者ウィラポンに4度挑戦し、2敗2分けの成績だった。初戦を判定で落とし、第2戦、第3戦はともに1-1のドロー。そして迎えた第4戦でもウィラポンの牙城を崩すことは出来なかった。西岡はのちに階級をひとつ上げ、スーパーバンタム級で王座を獲得し、7度の防衛に成功した。

   西岡がどうしても勝てなかったウィラポンから王座を奪ったのが長谷川だ。2005年4月16日、長谷川はウィラポンの15人目の挑戦者としてリングに上がった。6年以上の長期にわたって王座を保持してきたタイの英雄に対して、世界初挑戦の長谷川は臆することなく攻めた。世界的な名王者に一歩も引かず壮絶な打ち合いの末、王座を奪取。新時代の幕開けとなった。

長谷川VSウィラポン再戦は年間最高試合に

   長谷川とウィラポンが再び対戦したのは、2006年3月25日に行われた2度目の防衛戦。世界王者として自信を付けた長谷川が、前回以上に攻勢に出た。6回にダウン寸前まで追い込み、9回に右フックでダウンを奪いTKO勝利。長谷川VSウィラポンとの再戦は2006年度の国内における年間最高試合に選出された。

   バンタム級にこだわりながらも1つ上の階級で世界王座を獲得した西岡。その西岡を倒したのがドネアだ。2012年10月13日、米カリフォルニア州で行われた一戦は、西岡のWBCのベルトと、ドネアが持つWBOのベルトがかけられた王座統一戦として開催された。当時、西岡は36歳。ドネアは29歳と全盛期を迎えていた。試合はドネアの強打が爆発し、9回TKOでドネアがベルトを統一。この試合を最後に西岡はグローブを置いた。

   今月37歳の誕生日を迎えたドネア。かつて日本のエースを粉砕し、軽量級「最強」の称号をほしいままにした。そのフィリピンのレジェンドが新たな日本のエースと拳を交え、いまなお世界トップクラスの力を証明した。一方の井上は驚異的なスピードで世界の頂点に駆け上がり、パウンド・フォー・パウンド(PFP)ランキングで「世界最強」に手が届くところまで来ている。26歳「モンスター」と37歳「レジェンド」の再戦を世界中のボクシングファンが待ち望んでいる。

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