2020年 1月 30日 (木)

取材申し込むとサイトが消滅 育児メディア「イクシル」、医療・健康記事に「不正確」批判相次ぐ

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   育児サイト「イクシル」をめぐり、医学的に不正確な記事が多数あるとの指摘が、専門家から上がっている。

   元をたどれば東証1部上場企業が開設した同サイト。しかし短期間に譲渡が繰り返され、現在は運営企業が隠されている。問い合わせフォームを通じて取材を申し込むと、サイトは消滅した――。

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16年時点で月間約150万人が利用

   イクシルは、介護事業などを行う「エス・エム・エス」(東京都港区)が14年7月に立ち上げた。「妊娠・出産・子育ての悩みや疑問に、看護師・管理栄養士・薬剤師などの医療とヘルスケアの専門家が答えるニュースコラム」をコンセプトにする。

   16年6月のプレスリリースによれば、月に300本以上の記事を更新し、月間約150万人が利用。記事は複数の主要ポータル・ニュースサイトにも配信され、影響力の大きさがうかがえる。

   だが、サイトの根幹をなす「信頼性」に疑義が生じている。健康・医療記事で不正確な内容が数多くあると、複数の医師らがSNSで指摘しているのだ。

医師に見解を求めると...

   その一人、『"意識高い系"がハマるニセ医学が危ない!』(育鵬社刊)の著者で五本木クリニック院長の桑満おさむ医師に見解を問うと、ざっと調べただけでも科学的根拠(エビデンス)が不明な記事が5本見つかったという。

   例えば、15年12月付記事「子どもの水いぼ...痛みを最小限にとどめる治療法は?」では、水いぼの治療法に「入浴後に傷用のイソジン液をイボに塗ったり、木酢液や竹酢液を湯船に入れて治したお母さんもいます」と紹介している。

   しかし、桑満氏は「イソジン・木酢による効果はどう考えてもありえないのでは」と疑問を呈す。東京女子医科大学八千代医療センターの公式サイトでも、いぼ治療において「イソジン軟膏外用、グルタールアルデヒド(毒性のある消毒液)外用、木酢液外用、お灸といった民間療法など欧米においてエビデンスのない治療法は当科では一切取り入れておりません」と説明している。

   また、桑満氏は根本的な問題も指摘する。記事を監修した専門家の名前がほとんど記載されていない点だ。前述の記事では、「産科看護師」「内科看護師」を名乗る匿名の人物が解説している。

「ネットの健康・医療情報はさまざまありますが、大事なのは誰が書いたのかです。わからないのは信頼度が低いといっていいでしょう。仮に医師が監修していたとしても、それを専門としている人なのかも見極める必要があります」(桑満氏)

医療従事者には「資格証」求めていたが...

   エス・エム・エス広報に取材すると、イクシルは17年12月に他社へ譲渡したと明かす。

   運営当時の編集体制を聞くと、記事執筆は外部に委託し、監修は医師や看護師、管理栄養士、ケアマネージャーなど医療従事者が担当していた。医療従事者には資格証を提出してもらい"身元確認"していた。

   同社の運営中にも不正確な記事が配信されていたと伝えると、広報は「信頼性の担保をどこまできちんととるのかの重要性を改めて認識しています。当時は医療従事者が監修しているから大丈夫だろう、信頼できるだろうと考えて記事を公開していましたが、専門性の領域に応じた専門家に依頼して公開するということが必要で、今後はやらなければいけないと思っています」と話した。

   エス・エム・エスはイクシルの譲渡後も、複数のヘルスケアサイトを運営している。

譲渡先は「答える立場にない」

   譲渡先は、保育施設の運営などを行う「グローバルブリッヂホールディングス(GBH)」(東京都墨田区)。19年12月23日に東京プロマーケットから東証マザーズへの指定替えを予定する。

   GBH広報は11月29日、取材に対し「現時点で当社は運営していない」と回答。すでに他社へ事業譲渡したという。譲渡先や時期は守秘義務を理由に明かさなかった。

   医師らからの指摘については、同社の運営中に配信された記事であっても、答える立場にないという。

   現在のサイト上には、運営企業名が書かれておらず、「プライバシーポリシー」欄には、「イクシル運営事務局」とある。問い合わせフォームから取材を申し込むと、数日後に記事が非公開となり、サイト上には「お知らせ」が掲載された。

「本サイトを休載することにいたしました」

   以下、一部抜粋。

「本サイトは、大手企業様より譲受のご縁を頂き、当事務局が運営を引き継いで今日まで運営を重ねてまいりました」
「しかしながら、本サイトの内容や監修について、よい印象をお受けになられていない旨などのご指摘やお問い合わせを頂戴しました。また、ご指摘やお問い合わせの一部が、現在は関係性を有していない譲渡元の企業様に及ぶなどの事象が生じてしまいました」
「ご不快な思いをなされた読者様及び関係者様にお詫びを申し上げたく存じます。これまで、可能な限り記事の品質管理活動を行って参りましたが、少人数での運営体制に限界がある面は否定できず、今回のご指摘を機に、今一度記事の再確認と品質を行うために本サイトを休載することにいたしました」

   お知らせはすぐに消え、サイトは閲覧できなくなった。SNSアカウントも消えた。

   取材依頼では、(1)運営社名(2)編集体制(3)記事公開フロー(4)信頼性の担保方法――などを質すも、現在までに回答はない。

   育児サイトをめぐっては19年8月、小学館と資本提携する企業が運営する「ベビカム」でも、不正確な医療関連記事を配信していたとして、謝罪する騒動があった。

(J-CASTニュース編集部 谷本陵)

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