2024年 4月 25日 (木)

疑惑議員の「捜査に支障」にネット違和感 元検事も「単なる弁解」とバッサリ

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   公職選挙違反の疑惑を受けて辞任した元2大臣を含む3人の国会議員が、2カ月半~3カ月ぶりに公の場に姿をみせ、記者団の取材に応じた。しかし、3議員とも「捜査に支障をきたしてはならないので」などと言及し、現時点での説明を避けた。

   こうした姿勢に対し、ツイッターでは国会議員としての説明責任を果たすべきだとする声が相次いだ。また、コメンテーターとしてテレビ出演した元検事らからは「(説明しても)捜査に支障は出ない」といった指摘が出ている。

  • 菅原前経産相が約3カ月ぶりに取材に対応した(画像は、大臣辞任前<2019年10月18日>の衆院経済産業委員会、衆院インターネット審議中継映像より)
    菅原前経産相が約3カ月ぶりに取材に対応した(画像は、大臣辞任前<2019年10月18日>の衆院経済産業委員会、衆院インターネット審議中継映像より)
  • 菅原前経産相が約3カ月ぶりに取材に対応した(画像は、大臣辞任前<2019年10月18日>の衆院経済産業委員会、衆院インターネット審議中継映像より)

「弁護士からも言われていることから...」

   「(略)菅原前経産相『捜査に支障』 疑惑説明せず議員辞職否定」(東京新聞ウェブ版)――菅原一秀・前経済産業相が、通常国会が召集された初日の2020年1月20日に約3カ月ぶりに国会に登院した。辞任後初めて公の場で記者らの取材に対応した様子を伝える記事には、こんな見出しも躍った。

   菅原氏には、公設秘書が選挙区内であった通夜で香典を渡したことに公選法違反の疑いが指摘されている。菅原氏は20日、「当局の捜査に支障が出ないようにした上で、説明責任を果たしたい」と述べたが、香典問題については「手違いだった」と触れたものの、それ以上の説明は避けた。また、3年の公訴時効を過ぎて法的には違反を問われることがない、「メロンやカニ」などの選挙区内寄付行為の疑惑についても、説明しなかった。

   また、河井克行・前法相も20日、国会内で取材に答えたが、やはり「(略)『捜査に支障』 疑惑に発言せず」(産経ニュース)と、菅原氏同様の理由を挙げて説明を避けた。テレビカメラを前に「捜査に支障をきたす、影響を与えるようなことは厳に慎むようにと弁護士からも言われていることから、私の所感・考えは控えたい」と述べた。

   前法相と妻の河井案里・参院議員(自民党)の双方の地元(広島)事務所は、15日に広島地検による家宅捜索(公選法違反容疑)を受け、同日夜、2人は別々に取材対応を行った。公の場へ姿を見せたのは、約2カ月半ぶりだった。この際も前法相は「(略)『捜査中』理由に詳細語らず」(毎日新聞ウェブ版、16日)と、同様の姿勢を示していた。

   案里議員も15日に続き20日の登院の際、記者団に「捜査に影響が及ばないことがいちばん」と、現段階では説明を避ける考えを示した。

「全然説明責任を果たしていません!」の声も

   こうした3議員の言動に対し、ツイッターでは、「説明責任はどうするのか?」「全然説明責任を果たしていません!」と反発する声が出ている。また、3議員が言及した「捜査への支障や影響」という理由付けに対しても、「(捜査に、ではなく)自分の立場に支障があるので~と受取れる」といった皮肉が相次いでいる。

   「捜査への支障」論については、元検事からも疑問の声が寄せられている。

   20日昼の情報番組「ひるおび!」(TBS系)で、元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は、3議員に関するコーナーの中で、

「『捜査の支障』と言っているのは、単なる弁解です」

と断じた。自身の経験も踏まえ、捜査側としては、当人が疑惑を認めても否定しても、「捜査に悪いことはない」として、説明を行わないことは国会議員として、

「説明責任を国民に負っていることを忘れてしまっている、失念してしまっている」

と指摘した。

   また、20日朝の「羽鳥慎一 モーニングショー」(テレビ朝日系)では、15日にあった河井夫妻会見での「捜査への支障、捜査への妨げ」という、説明をしない理由付けに対し、パネルで元検事の大澤孝征弁護士の見解を紹介。議員らが何を話しても捜査に支障はなく、検察は「粛々と」捜査をするとして、「しゃべられて困るなら身柄を拘束している」と指摘していた。

   もっとも、日本では自身に不利益な供述を強要されない権利が保証されている。先に触れた「ひるおび!」で出演陣らが、3議員が説明を行わないのは「捜査に支障」が出るからではなく、自身が刑事責任を問われる可能性が出てくるからではないか、といった見立てを披露し合っていた際、元裁判官の八代英輝弁護士は、

「そういえばいいでしょ。『捜査に支障がある』とか言うから...」
「自己負罪拒否特権があるんだから、『刑事的責任を問われる可能性がある事項ですので、この点については回答を控えさせて頂きたい』と言えばいいんですよ」

と、「捜査への支障」を説明しない理由に挙げることへの違和感を表明していた。

   河井夫妻は15日、菅原前経産相は20日のそれぞれの会見で、自民離党や議員辞職の考えはないと述べている。

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