井上尚弥「モンスター」名付け親が込めた思い きっかけは「平成の怪物」だった

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   ボクシングのWBA、IBF世界バンタム級王者・井上尚弥(26)=大橋=が2020年4月25日(日本時間26日)、WBO世界バンタム級王者ジョンリエル・カシメロ(30)=フィリピン=との王座統一戦に臨む。

   井上VSカシメロ戦は海外でも大きな話題を呼び、海外の専門メディアでは「モンスター」の勝利を確信する報道もみられ、アジアの枠を超えて世界中から注目を浴びている。

  • 井上尚弥(2016年撮影)
    井上尚弥(2016年撮影)
  • 井上尚弥(2016年撮影)

横浜高OBの大橋会長は野球部とも深いつながりが

   海外メディアが格付けするパウンド・フォー・パウンド(PFP)の常連であり、軽量級最強の名をほしいままにする井上。「モンスター」の愛称は海外の専門メディアでもすでに定着している。この「モンスター」という愛称には、ある願いが込められているという。J-CASTニュース編集部は名付け親の大橋秀行会長に話を聞いた。

   大橋ジムは1994年に設立され、これまで男女合わせて5人の世界王者が誕生している。横浜高出身の大橋会長は現役引退後、横浜市内にジムを開き、地元に根付いた活動を行ってきた。高校野球の強豪校として知られる横浜高は、高校ボクシングの名門でもあり、大橋会長をはじめ数多くのインターハイ王者を輩出してきた。

   大橋会長は横浜高野球部OBと親交があり、過去には横浜高からプロ入りした選手がオフシーズンに大橋ジムでボクシングを取り入れた練習をしたこともある。その横浜高のスーパースターといえば、松坂大輔(西武)だ。横浜高時代に甲子園で数々の伝説を残し「平成の怪物」と言われた松坂。実は、「モンスター」の愛称は松坂の「平成の怪物」に由来するという。

アリは「ザ・グレーテスト」、タイソンは「鉄人」

   大橋会長は「日本からメジャーリーグに行って活躍した松坂選手のように、井上には世界を相手取るようなボクサーになってほしかった。より広い世界に進出してほしいとの思いで怪物ではなく、モンスターと名付けました」と愛称を付けた理由を説明した。

   世界のボクシング界のレジェンドには必ずと言っていいほど愛称がある。元ヘビー級の伝説的王者モハメド・アリ(米国)は「最も偉大なボクサー」という意味を持つ「The Greatest(ザ・グレーテスト)」と呼ばれた。故人となった今でも世界中のボクサーから尊敬を集め、世界のボクシング界では伝説と化している。

   元ヘビー級3団体統一王者マイク・タイソン(米国)は、破壊力抜群のパンチ力と屈強な肉体から「鉄人」の愛称が付き、アイアン・マイク・タイソンと呼ばれた。また、無敗のまま世界5階級を制覇したフロイド・メイウェザーJr(米国)は「金の亡者」を意味する「Money(マネー)」と呼ばれ、一方ベビーフェイスのマニー・パッキャオ(フィリピン)は「パックマン」の愛称で親しまれている。

世界王座13度防衛の具志堅氏は「カンムリワシ」

   日本では、13度の世界王座防衛記録を持つ具志堅用高氏が沖縄・石垣島に生息する鳥「カンムリワシ」の愛称を持ち、デビュー当時のキャッチフレーズは「100年に一人の天才」だった。元WBC世界バンタム級王者・辰吉丈一郎氏は「浪速のジョー」の愛称で親しまれた。このように日本の歴代世界王者にもそれぞれ愛称が付けられたが、世界的に愛称が認知されたのは井上が初めてではないだろうか。

   大橋会長はかつて、具志堅氏を超える「150年に一人の天才」とのキャッチフレーズが付けられた。その「150年に一人の天才」の愛弟子は、26歳にして世界的なボクサーに成長した。「Monster」はいまや「The Greatest」と同様に世界中のボクシングファンから尊敬を集める愛称となっている。

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