2024年 4月 26日 (金)

中国「失業者7000万人」民間レポート 発表当日に取り下げられた理由

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レポートを出した研究所所長を解任

   実際、中国の政府統計部門が都市部と農村の雇用状態に対して行うサンプリング調査では、家業としての農業も雇用に含まれており、出稼ぎ労働者が都市から農村に帰っても失業として数えられない。

   上記の中泰証券の研究レポートによれば、今年第1四半期に出稼ぎに行った中国の農民はたった1億2000万人で、前年同期比5000万人以上減少している。そのうち一部は都市部で仕事を見つけられず、「やむを得ず」家で農業をしているため、いかなる種類の失業率統計にも数えられていない可能性があるという。

   驚愕の内容であることから、『財経』ニュースサイトなどは、直ちにこのレポートを転載したほか、さらに、これについて報道される関連情報もネットにアップされた。しかし、その発表当日のうちに、「李迅雷金融・投資」は突然、先のレポートを取り下げた。

   そして、4月30日、中泰証券研究所が人事異動の通知を出し、李迅雷を研究所所長から解任すると発表した。李迅雷自身は4月30日に微信公式アカウント「李迅雷金融・投資」で、4月26日のレポートは「特定の仮定状況において出した相応の失業率レベルの推計」であり、「全ての推計はみな仮定条件を出す必要があり、仮定条件も推計結果に非常に重大な影響を与えるため、推計結果は参考にすぎない」と書き、そして「公式データに従うべきである」と強調した。

   中国の経済政策は、いままでの「雇用の安定」から「雇用の維持」へと変化しており、雇用を最優先にしている。このことが、今回のレポートの内容の深刻さを物語っているといえる。

   一方で、数千万人が失業しても中国社会は基本的に安定しているように見えるのも事実だ。失業者の多くが、土地持ちの出稼ぎ労働者であり、失業しても、しばらくは農村での働き口がある。これが他の国と大きく異なっている現実である。

(在北京ジャーナリスト 陳言)

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