2020年 11月 26日 (木)

「コンテンツを作り続けたところが勝つ」 ブシロード木谷高明氏、コロナ禍に直面するプロデューサーの気概【インタビュー】

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   新型コロナウイルスの感染状況は落ち着きを見せているが、ライブエンタメが以前のような盛況を取り戻すまでは長期戦が続く。音楽・スポーツ・アニメ・ゲームと様々なジャンルと融合して成長してきたライブエンタメの市場だが、前代未聞の大打撃を受けている。

   突然のコロナ禍に、渦中のプロデューサーはどう考え行動したのか。カードゲーム・プロレス・ゲーム・舞台などの総合プロデュース企業に成長したブシロードの創業者で、現取締役の木谷高明氏がJ-CASTニュースの取材に応じた。

(聞き手・構成:J-CASTニュース編集部 大宮高史)

   ただの配信は、過去のコンテンツを消費するだけ

   ――ライブエンタメの正常化までにはまだ長期戦になりそうです。

 まず当社としては、2月中旬からかなり警戒して、早い段階からライブイベントは中止を決めました。ただその後、新型コロナについていろいろなことも分かってきて、7月8月からはやれるものをやって行こうと考えています。6月15日には無観客ですがプロレスを開催しました。それと舞台とライブについても、客席数は減りますが7月からキャパシティ半分以下でやっていきます。
 また、3密が避けられるイベントに関しては通常通りの開催をしていきます。東京ドームシティのGallery AaMoで予定している展示会がありますが、これなら入場時間を区切り、会場内にいる人数を制限すれば開催可能です。

   ――感染が全国的に拡大してきた2月中旬から今まで、エンタメのプロデューサーとしてどう考え行動してきましたか。

 興行ができなくても出来ることをやるしかない。うちはライブ・舞台・プロレスで興行をしてきました。特にプロレスは興行がないと成り立たないのですが、通販やメディア収入で売上げを計上しました。
 もう一つは、コンテンツをオンラインでも作っていかないといけない。今、「BanG Dream!(バンドリ!)」などの過去のライブ映像の配信も行っていますけど、これでは今まで作ったコンテンツを消費しているだけです。新しいコンテンツを作っていかなければ。かといって無観客の配信やイベントでは、やはり赤字になってしまいます。
 そこで、4月の時点でプロレス界全体の要望として、馳浩衆院議員にレスラーへの休業補償と簡易検査キットの普及のお願いをしました。幸いうちはアプリゲームのセールスは増えていますから、そうした物販やグッズで売上げを計上させてもらっています。

   ――オンラインでのコンテンツといえば、6月2日にガルパ無観客花火大会を行いました。

 結構話題になって、ネットで皆さんにも取り上げて頂きましたし、何社か協賛もいただいた。現場は虫だらけでしたけど(笑)。厄払いのつもりのアイデアだったのですが、好評だったので来年もやりたいですね。他の配信企画でもただ映像を流すだけでは駄目だと、声優に実況してもらうような形でリアル感を出せるよう試行錯誤中です。
 それからもう、私自身がコンテンツになった感じで、私の還暦記念の生配信「なんでも俺に聞け!」を6月5日に行いました。とはいえ、配信だけで稼ぐのは正直無理です。ただゲームと過去のCDやBDのソフトもありがたいことに売れているので補っている。ブシロードグループのうち、2~3割のセクターはダメージを受けていますが、アプリゲームは代わりに売上を増やしています。

   ――そしてイベントの方も本格的に再開していこうと。

 前述の通り、しばらくは50%以下の客入り、もしくは無観客を想定しています。再開に向けては出演者やスタッフの抗体検査を行います。感染していないとわかれば、彼らと外部の接触をできるだけ断てば、安全に稽古なども進められます。タレントも公共交通をなるべく使わず、場合によっては当社の車で送迎しているのも対策の一環です。
  • コロナ禍の中でもコンテンツ供給を絶やさないと前向きな木谷氏
    コロナ禍の中でもコンテンツ供給を絶やさないと前向きな木谷氏
  • コロナ禍の中でもコンテンツ供給を絶やさないと前向きな木谷氏

「新しい」生活様式への違和感

   ――とはいえ、客席半分というのは、いざ現実に直面すると愕然とします。倍率は上がるし、採算は取れないのではないでしょうか。

 それでもやっていくしかない。ただ、しばらくライブ単独では収益は成り立たない。これまでもライブはチケット収入だけでは費用をペイ出来ない場合もあり、グッズ販売収入を合わせて成り立たせていましたが厳しいです。プロレスや舞台は開催していけます。赤字でもコンテンツを作り続けていくしかないし、続けたところが勝ちます。

   ――「新しい生活様式」が2メートルの対人距離を推奨していて、これでどうなるのか、単純にファン心理としては不安ですね。

 この「新しい」という言い方はどうかと思うんですよね。本来「新しい」って、ポジティブな意味でいいことが始まるようにテレビでも言っていますが、実際はとりあえず我慢してくださいと、緊急避難のように決まったもの。それを「新しい」と未来永劫続くかのように伝えるのは、ちょっと違うんじゃないかと。
 2メートル空けるというのは、興行をやる上でとても現実的ではないので、これからのイベントで座席を空けるにしてもそこまでの距離は取れません。

   ――コロナ対策とはいえ、興行界ではこれを定着させるのは難しそうです。

 臨時の生活様式でしょう。チケット代についても、これからは少し値上げせざるを得ないかもしれません。そうなればファンには申し訳ないが、少し我慢してもらうことになります。

   ――イベントといっても形態は様々で、観劇中は静かに会話をしない舞台や、野外のイベントもあります。コロナ感染のリスクも形態によって違ってきそうです。

 今は業界全体で1席空けるようにしていますが、新しい劇場は換気もよいですから、なぜ劇場だけそこまで間隔を開けなきゃいけないのかな、と不思議にも思います。それとうちは8月に野外でのイベントを予定していますが、これをどうしてもやりたいのも野外だからです。屋内ほど過剰になる必要はないと思います。
 座席を空けるというのは国からの強制ではなくて一般論でやっていることではあるけど、今はまだ観客側の心配もあるでしょう。状況を見て緩和できるところは緩和されるのでは?

   ――どういう状況になったら、段階的にキャパシティーを増やしていこう、というロードマップのようなものはありますか?

 具体的にはまだありません。わからないけど、暖かくなってくる来年のゴールデンウイーク頃にはコロナ前の客入りに戻ればいいかなと。冬にもライブを企画していますが、今冬はかなり警戒しているのでどうなるかわからない。
 僕自身は春~秋の野外イベントについてはさほど心配しなくてもいいかなとも思いますけど、世の中の基準に合わせる必要はあるかもしれません。来年の今頃には笑い話になっているといいですね。

   ――それに、カードゲーム「カードファイト!! ヴァンガード」のイベントもダメージを受けています。

 ヴァンガードのこれからの大会は、細かく人数を区切ってやります。秋の大会は、店舗予選は最大16人のトーナメント、地区予選も最大32人、それぞれで地区決勝をやり、全国大会も会場の空間を区切って開催したいです。
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