2020年 7月 15日 (水)

河野防衛相はなぜ「異例の発表」を? 奄美沖潜水艦「中国と推定」がもつ意味

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   河野太郎防衛相は2020年6月23日の記者会見で、18日から20日にかけて日本の接続水域を潜航した潜水艦について「中国のものであると推定している」と述べた。自衛隊が行う情報収集活動の中でも、潜水艦をめぐるものは特に秘匿性が高いとされ、国籍まで明らかにするのはきわめて異例だ。

   河野氏は会見2日後の25日に東京・丸の内の日本外国特派員協会で行った記者会見でも潜水艦に言及。潜水艦をめぐる発表は異例だとしながら「時には日本の周辺で何が起きているのか、関心を高めることも必要だと思う」などと説明。国民にも警戒を呼びかけた。

  • 記者会見する河野太郎防衛相。接続水域を潜航した潜水艦の事案にも言及した
    記者会見する河野太郎防衛相。接続水域を潜航した潜水艦の事案にも言及した
  • 記者会見する河野太郎防衛相。接続水域を潜航した潜水艦の事案にも言及した

潜水艦事案は「通常は発表しないし、いると認識しているかどうかも明らかにしない」

   潜水艦は6月18日に奄美大島(鹿児島県)の北東の海域、20日に横当島(鹿児島県)の西の海域を潜航。いずれも日本の領海のすぐ外側にあたる、接続水域内だ。防衛省はこの事実を20日に公表していたが、この時点では単に「潜没潜水艦」とするにとどめていた。河野氏が23日に防衛省で行った会見では一転して、

「これまで得られた様々な情報を総合的に勘案して、この潜水艦は中国のものであると推定している」

と潜水艦の国籍にも言及。その理由を「最近の尖閣諸島を始め、様々な情勢に鑑みて」と説明した。中国の公船が、沖縄県の尖閣諸島周辺の領海侵入や接続水域での航行を続けていることを念頭に置いた発言だ。

   6月25日の会見では、冒頭発言から中国への懸念に言及した。日本の防衛費は大筋で横ばいなのに対して、中国の軍事費の伸びが大きいことを念頭に

「日中の防衛費の使い方には大きなギャップがある。戦闘機、潜水艦、フリゲート艦を見ると、大きな違いがある。能力と意図について評価する必要がある」

などと指摘。中国の東シナ海での動向を説明する中で、潜水艦の事案にも言及した。

「今、東シナ海では、我々の戦闘機がほぼ毎日、時には1回以上、中国の航空機に対してスクランブル発進をしている。銃を装備した船が絶えず領海を侵犯しようとしている。我が国の海上保安庁は尖閣諸島周辺で、素晴らしい仕事をしている。領海付近を通過する潜水艦が中国のものだということを発表した。潜水艦については通常は発表しないし、潜水艦がいると認識しているかどうかも明らかにしない。だが、時には日本の周辺で何が起きているのか、関心を高めることも必要だと思う。そのため、少し変わった発表をしたが、そうしなければならないと感じた」

香港の1国2制度が「ある種、浸食されつつある」

   東シナ海以外の状況にも懸念を示した。特に、中国が香港に導入を進める「国家安全法」を念頭に、香港の1国2制度が「ある種、浸食されつつある」とも述べた。

「南シナ海で起きていることも警戒すべきだ。ベトナムの漁船が中国に沈められたりしている。南シナ海では多くのことが起きているし、香港では1国2制度が、ある種、浸食されつつある。中印国境で何が起こっているのか、注意を払う必要がある。中国の能力だけでなく、中国の意図についても慎重に監視する必要がある」

   その上で、最近の中国の動きが日本の防衛政策にどのような影響を与えるかを問われた河野氏は、「力による一方的な現状変更」に反対する考えを改めて示した。

「現在の自由主義的な国際秩序では、武力や強制による一方的な現状変更は許されないと思う。もしそれをしようとする国があれば、国際社会はそれを阻止するために立ち上がる必要がある」

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)

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