2020年 7月 10日 (金)

唐揚げ店、大量キャンセルで「心折れた」 イタズラ推測させる「軽い感じ」の電話内容とは

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   東京都内の唐揚げ専門店で、電話による大量注文があったものの、追加注文を繰り返したうえでキャンセルされる被害があった。店によると注文金額は約1万5000円。衛生上の問題を懸念し、用意した商品はすべて廃棄した。もともとイタズラ目的だったのではないかと店は推測している。

   店は事の次第をSNSに投稿。担当者は取材に対し、「少しでも他のお店に役立てるならと思って発信しました」とし、「金額的な損害はもとより、精神的苦痛のほうが大きかったんです。実際その日、1人のスタッフは本当に心が折れて早退しました」と今回の「客」に静かに憤った。

  • キャンセルのため廃棄した容器の一部(写真提供:東京 丸武商店)
    キャンセルのため廃棄した容器の一部(写真提供:東京 丸武商店)
  • キャンセルのため廃棄した容器の一部(写真提供:東京 丸武商店)

「在庫が無くなりました」

   この店は、テイクアウト式で鶏の唐揚げや丼物など様々なメニューを提供する「唐揚専門 東京 丸武商店」(東京都葛飾区)。事が起きたのは2020年6月23日のことだった。ツイッターとインスタグラムに19時前、「心折れた」として次のように投稿。営業時間は20時までだが、1時間以上早く閉めざるを得なかったという。

「本日大量の電話注文キャンセルにつき在庫が無くなりましたので閉店とさせて頂きます 沢山の材料が無駄になり、そして18時以降にご来店いただいたお客様にはご希望の商品が提供できずに申し訳ございませんでした」

   25日の投稿で当時の状況を明かしている。予約があったのは17時すぎ。電話で大量の注文をされたが、直近数日間の売れ行きが良かったこともあって在庫が不足し、注文は受けられないと断らざるを得なかった。

   ところが、すぐに同じ客から電話があり、数を減らして注文された。作れる量だったので予約を受け、「作っちゃってください」と言われたため、すぐに調理を始めた。その後、同じ客から3度目の電話があり、注文の追加を依頼された。どうにか在庫は足りそうだったので店も受け付けた。

   だが、しばらくして4度目の電話があった。さらに追加注文したいということだったが、店は在庫不足のため「その分はできません」と応じた。すると「だったら全てキャンセルしますー」。3度目までの電話で受けた注文分は既に調理しておりキャンセルできないと伝えたが、「キャンセルでーキャンセルでー」と繰り返すばかり。来店して待っている客がいたため、キャンセルを受け付けて電話を切った。

   店は投稿で「最初からいたずら目的だったのかなと思っております」としている。キャンセルになった商品は再販せず廃棄した。気温が高くなってきたことに加え、新型コロナウイルス感染対策で設置している飛沫防止シートでさらに室温が上がっていたため、衛生上の問題を危惧したためだ。

「少しでも役立てるならと思って発信しました」

   23日の投稿後には、「酷いですね。営業妨害です」「心中お察しします...」「食いたくても食えない人も居るというのに」「キャンセル料、徴収した方がいいと思います」といった同情や激励、怒りの声のほか、「代わりにお金払って買いたい」との声もあった。応援の声に、店は25日の投稿で「キャンセルになった商品を買い取りたいとたくさんの嬉しいお言葉をいただきましたが、季節的に傷みやすいと言うこともあり食中毒などを出さないためにも泣く泣く廃棄処分と致しました」と説明。ただ、無念もつづった。

   「現在コロナウィルス等で仕事がなくなったり食べれない方が増えている世の中で食べ物を捨てると言うことがどれだけ心苦しかったことか... 飲食店で働いてる以上食べ物を捨てると言うことが本当に悔やまれます」

   再発防止のため、今後同様のことが起きた際には少額でも弁護士に相談し、商品代金のキャンセル料などを請求するとしている。経緯を説明した25日の投稿にはツイッターで、2500以上の「いいね」が集まった。

   こうした投稿をした丸武商店の担当者が26日、J-CASTニュースの取材に応じた。「詳細を公表する予定はなかったのですが、間違った情報が錯綜しないように、また同業者の方々から『同じような被害に遭った』『同じことがあるかもしれないから教えてほしい』といった連絡をいただき、少しでも他のお店に役立てるならと思って発信しました」と投稿の理由を明かす。

   キャンセルされた注文は丼物約20個、唐揚げ約50個などで、金額は合計約1万5000円に上る。大量の注文自体は時々あり、特に遠方から来店してくれる客に多いため、「今回も遠方のお客様かと思いました」という。

   予約した注文のキャンセルは普段受けておらず、今回のようなキャンセルをする客は今までいなかった。それでもキャンセルを受けたのは「もっと大事にすべきお客様がいたから」という。

「4回目の電話は『キャンセルでー』の一点張りでした。こういう人に構っているより、目の前でお待ちいただいているお客様に対応したかったんです。買う気のない人にいくら対応してもしょうがない。悔しいのは、廃棄することになった食材を使えば、もっと多くの方々に召し上がっていただけたということです。新型コロナウイルスで仕事を失ったり、食べることに困ったりしている人がたくさんいます」(担当者)

「金額的な損害はもとより、精神的苦痛のほうが大きかった」

   同店も新型コロナウイルスの影響で、一時売り上げは減少。担当者は「うちはマシなほうだと思います」というが、公的な助成金の対象店舗外だといい、自力で立て直す必要があった。助けてくれたのは地域の客だ。

「飲食店がつぶれたというニュースが流れるようになって、心配した近隣の方々が買いに来てくださって、何とか今につないでいます。だからこそ、捨てるのは本当に苦しかったです」(担当者)

   最近は「お金に本当に余裕がない人が増えてきた」と感じており、「コロナの影響で仕事を失った方々は生活が苦しくなってきます。地域の方々に助けてもらった分、何かお礼ができれば」と考えている。

   当然、キャンセルした客の名前と電話番号は控えているが、電話をかけても出なかった。「無駄骨になりそうなので、もう返金は諦めています」という。

「泣き寝入りというんでしょうか。『キャンセルでー』が軽い感じで、『すみません』といった言葉もありませんでした。訴えるべきと言ってくださる方もいますが、私たちにとっては訴訟に時間を費やすことも苦痛です。金額的な損害はもとより、精神的苦痛のほうが大きかったんです。実際その日、1人のスタッフは本当に心が折れて早退しました。ただでさえ1日のうち座っていられる時間は15分くらい。それでも応援してくださる方がいるから頑張れます。だったら、支えてくださる方々のために商品を作り、楽しい企画をするほうがいいです」(同)

   投稿の効果はあったかもしれない。同店は店頭だけでなく通販でも注文を受けているが、全体の5%程度で無断キャンセルが起きていた。それが今回の被害について投稿した直後となる24日が支払期限の注文は、「100%ご入金いただきました」という。

   協力を仰いだ弁護士は、飲食業の無断キャンセルの案件を数多く手がけており、LINE 1 通で相談に応じてくれることになったという。「これからは少額でも弁護士さんに対応をお願いするようにします。少しでも同様の被害の抑制になればと思います」と願う。

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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