2021年 4月 19日 (月)

「ドローンでお届け」が日本でも当たり前に? 実験が次々成功、残る課題は...

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   取扱量が2018年度に約43億個となり、増える一方の宅配便が物流システムに負荷をかけ続ける中、期待されているのが小型無人機・ドローンによる配送だ。楽天は、2021年にも物流費が高い山岳などでドローンによる宅配サービスを始める。人が住む場所でも、産学官による実験が過疎地から進んでいる。私たちの生活圏で宅配便を積んだドローンが飛び交う日はもうすぐなのか。

   新型コロナウイルスの感染防止の観点からも、人との接触が避けられるドローン配送は注目されている。アメリカなど一部の国ではすでにドローンによる無人配送が実用化されている。

  • 人や車の代わりにドローンが配送してくれる時代はもうすぐだ(写真はイメージ)
    人や車の代わりにドローンが配送してくれる時代はもうすぐだ(写真はイメージ)
  • 人や車の代わりにドローンが配送してくれる時代はもうすぐだ(写真はイメージ)

山道を徒歩なら7時間、ドローンならわずか15分

   北アルプスの「白馬三山」の主峰・白馬岳(2932メートル、長野県白馬村)。「天然の冷蔵庫」と呼ばれる長さ約3キロ、幅約150メートルの「大雪渓」の上空で、ドローンが山頂にある村営宿舎「白馬山荘」に向けて平均時速約40キロで飛行した。

   「白馬村山岳ドローン物流実用化協議会」による実証実験だ。登山口にある山荘から片道5キロ、1600メートルの高度差を、操縦者はドローンを目視外飛行で飛ばした。積載したのは、トラックなどの輸送では振動による傷みが生じがちな桃や梨などの果物約5キロ。実験の結果、傷つけることなく運べた。協議会に参加する楽天によると、高度差が1600メートルもある輸送事例は国内初だという。

白馬岳(長野県白馬村)の頂上に向けて飛行するドローン(楽天提供)
白馬岳(長野県白馬村)の頂上に向けて飛行するドローン(楽天提供)

   これまでは、荷物を背負い、徒歩で約7時間かかっていたが、ドローンでは飛行時間15分で配送できた。霧の中でも無事に飛べたという。「人力」による険しい登山道を通じた歩荷輸送には危険が伴う。またヘリコプターを用いた輸送は高額で、天候にも左右される。こうした荷上げ費用の高いコストは、全国の山小屋の経営を圧迫しているという。

   実験成功を受けて、楽天などは次のようなコメントを出した。

白馬岳の山頂にある山小屋にドローンは桃を傷つけることなく運ぶことができた(楽天提供)
白馬岳の山頂にある山小屋にドローンは桃を傷つけることなく運ぶことができた(楽天提供)
「山岳エリアにおける物流支援は、白馬村のみならず日本各地の山岳エリアで共通する課題を解決する一助となる可能性があり、今後は実証実験で得た知見を全国の山岳エリアでのドローン配送ソリューションの提供拡大に向けて生かしていきます。また、将来的に地元地域の人材が活用・運用できるオペレーション体制の確立と、それに伴う地域雇用の創出を目指します」

人が住む地域での生活支援も試行も... 採算性が課題

   一方で課題も残る。

   航空法の規制でドローンは地表から150メートル以内を飛行しなければならないことから、飛行経路を山の地形に合わせる必要があることだ。そして、山岳地ならではの、変わりやすい天候に柔軟できる体制づくり、航続距離や無線通信環境、最大積載量など機体の性能向上なども、実用化に向けて越えなければならないハードルだという。

神奈川県横須賀市の猿島で、観光客の注文を受けて食料品などを配送するドローン(楽天提供)
神奈川県横須賀市の猿島で、観光客の注文を受けて食料品などを配送するドローン(楽天提供)

   ドローンを使った宅配は山岳地だけでなく、離島などでも実用化が期待されており、様々な試みが始まっている。

   楽天と西友は2019年7月から3ヶ月間、神奈川県横須賀市の無人島・猿島で、食品や飲料を海水浴やバーベキューなどで訪れる観光客に向けてドローンで宅配するサービスを試行。猿島にあるバーベキュー場に着陸ポートを設置し、利用客がアプリで商品を注文すると、海を挟んで約1.5キロ離れたスーパーから、ドローンが商品を運んだ。

   期間中の毎週木曜日から土曜日にかけて、計90件以上の注文を受けて計450個以上を配送。バーベキューを楽しんでいる最中にドローンで食材が届くなどして、利用者から高い満足度を得られたという。

   実際に人が住む離島の生活支援としても、楽天は三重県志摩市の間崎島(人口約70人)で20年1月、約5.4キロ離れた対岸にあるスーパーからドローンで生活物資などを届ける実証実験を行っている。

「和気町ドローン物流検証実験協議会」が岡山県和気町で行った配送実験の様子(フューチャー・ディメンション・ドローン・インスティチュート提供)
「和気町ドローン物流検証実験協議会」が岡山県和気町で行った配送実験の様子(フューチャー・ディメンション・ドローン・インスティチュート提供)

   楽天以外でも、岡山県和気町など産官学でつくる「和気町ドローン物流検証実験協議会」が18年12月と20年3月、町の平野部と山間部の最大約30キロの距離で食料品などを配送する実験を実施。飛行1回につき操作や安全管理に5人程度必要だった人員を、3人程度にまで減らせた一方、初期コストや人件費などから採算を取るのは難しく、配送単独ではビジネスとして難しいことがわかったという。

   協議会の事務局を務め、ドローンの操縦を担った民間会社「フューチャー・ディメンション・ドローン・インスティチュート」の担当者は、ほかにも、1度の飛行で運べる配送量が法規制により制限されている点や、安全性を担保するための機器やシステムに対する厳しい審査基準など、様々な課題が浮かび上がったとしている。

アメリカではすでにサービス運用開始 日本での課題は

   かつては航空法の規定で、操縦者か補助者が常に目視で機体を確認できる場所に限定されていたドローンの飛行は、2018年に高度150メートル未満の山や川、海などの人が立ち入る可能性が低い場所に限って目視外でも飛行できるように改められた。この規制緩和により、離島や中山間地などに暮らす「買い物弱者」の利便や、災害時の物資輸送への応用などに道が開けた。

   利用者の利便性を高めるとともに、高騰する一方の物流コスト削減のため、人口が多い都市部でのドローン配送も実用化が期待されている。政府が都市部上空でのドローンの商用利用を始める目標に掲げているのは2022年度だ。

   技術的にはすでに視野に入っている「有人地帯での目視外飛行」を実現するためには、空中で複数のドローン同士がぶつからず安全に計画的に飛行できるようにする「管制システム」の構築や、管制システムがサイバー攻撃で乗っ取られないようにするセキュリティー面の対策など、課題は多い。

Googleの親会社アルファベットの傘下企業はアメリカなどの一部で商用配送を始めている(ウィングのウェブサイトから)
Googleの親会社アルファベットの傘下企業はアメリカなどの一部で商用配送を始めている(ウィングのウェブサイトから)

   一方、アメリカでは、Googleの親会社アルファベット社のドローン宅配サービス「ウィング」が2019年に米連邦航空局からドローンによる商用配送のパイロット・プログラムを実施する承認を得て、19年10月から一部地域で運用を始めている。ドラッグストア大手のウォルグリーンと提携し、医薬品やトイレットペーパーなどの日用品に加え、生鮮食品以外の食料品の宅配も行っている。

   20年に入ってからは、新型コロナの感染拡大を受けて、レストランや図書館からの宅送サービスも開始した。アルファベット社によると、ウィングのサービスが運用されているアメリカ、オーストラリアとフィンランドでの利用者数は20年2月からの2ヶ月間で3.5倍に増えたという。

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