2024年 4月 20日 (土)

ネリの世界2階級制覇は「本物」か 「決定打なし」「パワー不足露呈」も唯一の収穫は...

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

   ボクシングの元WBC世界バンタム級王者ルイス・ネリ(メキシコ)が2020年9月26日(日本時間27日)、世界2階級制覇を達成した。正規王者レイ・バルガス(メキシコ)の負傷により空位となったWBC世界スーパーバンタム級王座を同級6位アーロン・アラメダ(メキシコ)と争い3-0の判定勝利で王座を獲得。連勝を「31」(24KO)に伸ばし、バンタム級に続いてスーパーバンタム級を制したネリだが、試合内容は決してほめられたものではなかった。

  • 画像はイメージ
    画像はイメージ
  • 画像はイメージ

実績ないままいきなり世界戦

   今回の試合を振り返る前に、まずこのタイトル戦が決定した経緯を辿ってみる。ネリ対アラメダ戦が発表されたのは2月9日。米テレビ局「SHOW TIME」が発表したもので、WBC世界スーパーバンタム級王者バルガスの挑戦者決定戦と銘打たれた。発表当時、ネリはWBCスーパーバンタム級のランキングには入っておらず、対するアラメダのランキングは世界12位だった。元世界王者とはいえ、ランキング外の選手と下位ランカーによる挑戦者決定戦には疑問が残った。

   3月28日に米ラスベガスで予定されていたこの一戦は新型コロナウイルスの影響で延期となった。その後、改めて試合日程が発表されたのは8月15日。米興行大手「プレミア・ボクシング・チャンピオンズ(PBC)」が、9月26日に米コネチカット州でネリとアラメダがWBC世界スーパーバンタム級王座決定戦に出場することを発表した。ネリは7月のWBCの世界ランキングでスーパーバンタム級1位にランクされ、アラメダは9位にまでランキングを上げていた。

   当初、王者バルガスへの挑戦者決定戦だったはずの一戦が、バルガスの足の負傷により王座が空位となったため王座決定戦に昇格した。新型コロナウイルスの影響でスケジュールが後ろ倒しになり、これに王者のアクシデントが重なり、スーパーバンタム級で何ら実績のないネリがいきなりタイトル挑戦の機会を得ることになった。なんという強運の持ち主なのだろうか。

問われたネリの「力量」

   試合当日の世界ランキングは、ネリが1位でアラメダが6位と一応の体裁は整った。試合内容はどうだったかといえば、必ずしもボクシングファンを納得させるものではなかったといえるだろう。この一戦で注視すべき点は、階級を上げたネリの「力量」だった。バンタム級時代、体重超過を繰り返したネリはスーパーバンタム級がベストなのか。それもともっと上の階級でやるべきなのか。リング上のネリに注目が集まった。

   パワーでいえば、残念ながらスーパーバンタム級においては特別ではないだろう。サウスポーを苦にしないネリは序盤から積極的に攻撃を仕掛けるも、アラメダの堅いガードに阻まれる。スピードで上回るネリは時折、ショートパンチをヒットさせポイントを重ねていった。アラメダのガードを崩そうと強引にボディー攻撃に転じる場面も見られたが、次のショットにつながらない。「格下」相手に最後まで決定打を打ち込めなかった。

   ボクシングスタイルはバンタム級時代と比較してどうだっただろうか。ネリはこの試合に備えて、エディー・レイノソ氏に師事。レイノソ氏は世界4階級制覇のサウル・アルバレス(メキシコ)を指導する世界的なトレーナーで、タイトル戦ではメインセコンドを務めた。レイノソ氏の指導によりボクシングスタイルがどのように変化したのか注目されたが、攻撃面ではバンタム級時代と変わらず大振りが目立ち、強化したというディフェンス面においてもさしたる進化はみられなかった。

次戦候補は元王者と現役王者

   ネリの最大のウリは無敗であることだ。無敗に商品価値が見いだされ、プロモーターの需要がある。バンタム級時代の体重超過、ドーピング疑惑などを問題視してネリの実力を疑問視するメディアは少なくないが、その一方でネリのボクサーとしての実力を高く評価するメディアもある。無敗の元王者の世界2階級挑戦は、確かにインパクトはあったが、試合はネリがパワー不足を露呈。唯一の収穫は負けなかったことだろう。

   WBC世界スーパーバンタム級のベルトを手中に収めたネリの次戦候補には2人のボクサーの名が挙がっている。

   そのうちのひとりは、前WBA、IBF世界スーパーバンタム級王者ダニエル・ローマン(米国)だ。ローマンは9月26日にネリと同じリングに上がり、元WBA世界バンタム級王者ファン・カルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)を判定で破り、ネリへの挑戦権を獲得した。

   そしてもうひとりが対立団体のWBA世界スーパーバンタム級王者ブランドン・フィゲロア(米国)だ。フィゲロアも同じく26日のリングに上がっており、挑戦者ダミアン・バスケス(米国)を10回TKOで下し3度目の防衛に成功している。

   ネリ自身はフィゲロアとの王座統一戦を望んでいるようだが、WBCがローマン戦を優先させる可能性もある。いずれにしても次戦は、元王者ローマンもしくは現役王者フィゲロアとの対戦が見込まれる。世界的に無名のアラメダを倒し切れずパワー不足を露呈したネリ。スーパーバンタム級で連勝を伸ばし続けることが出来るのか。次戦はネリの真価が問われるだろう。

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中