2024年 4月 19日 (金)

尾身茂会長、首相会見で懸命に語った「やるべきこと」 一体となれば感染状況「下方に転じる」ことはできる

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   菅義偉首相と政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が2020年12月25日、官邸で会見し、年末年始の感染対策について説明した。

   尾身氏は「年末年始が終わると社会経済活動が活発化し、感染が再び急増する可能性が極めて高いと思う」と危機感を示しながら、感染を抑えるために気をつけるべき新型コロナの「急所」を指摘。また、緊急事態宣言の発令の前に「やるべきこと」も説明した。

  • 会見する尾身茂会長
    会見する尾身茂会長
  • 会見する菅義偉首相と尾身茂会長
    会見する菅義偉首相と尾身茂会長
  • 会見する菅義偉首相
    会見する菅義偉首相
  • 会見する尾身茂会長
  • 会見する菅義偉首相と尾身茂会長
  • 会見する菅義偉首相

「年末年始が終わると社会経済活動が活発化」

   11月下旬からの「勝負の3週間」を終え、なお感染は拡大。政府は観光需要喚起策「Go To トラベル」も年末年始の全国一斉一時停止に踏み切った。感染が止まらない理由と、これまでの政府対応で反省すべき点を問われた菅氏だが、次のように時短要請の効果に期待を示した。

「新規感染者数の増加は過去最多の水準。要因については尾身会長からの説明のほうがよろしいと思う。

政府として新型コロナウイルス対策をしてきたが、初めて経験する感染症だった。毎日難しい判断の連続だった。Go To については、7000万人にご利用いただいて、感染者は350名だった。しかしステージ3になってから、尾身会長はじめ分科会からGo To一時停止の提案をいただいた。東京、大阪、北海道はそのようにしたが、私の判断で年末年始の期間、全国一斉に停止する判断をした。

それと、今回の特措法改正は飲食が一番の要因だと、これも尾身会長からお聞きいただきたいが、政府としては時短と給付金、罰則をセットにすれば、より実効性があるのかなという思いはある。分科会の議論を踏まえて対応したい」

   一方の尾身氏は、首都圏の感染拡大と、年末年始以降の感染懸念について、強い危機感を示した。

「今、北海道と大阪はいち早く集中的に強力な対応をしたおかげで、北海道は(感染拡大が)下方に向かっている。大阪も増加のスピードが鈍化している。一方、東京は感染拡大が継続し、近隣県に感染が染み出しており、1都3県の感染例の割合が全国の5割程度になっている。東京を中心に首都圏の感染を早く下方に転じないと、全国の感染はなかなか止めることは難しいと思う。

年末年始は人の流れが一定程度抑制されると思う。しかし強調したいのは、年末年始が終わると社会経済活動が活発化し、感染がまた再び急増する可能性が極めて高いと思うということ。今、この時期に下方に転じさせないと、年末年始が終わって感染が急拡大したら、下方に修正するのはそう簡単ではなく、かなり時間がかかる。おそらく週単位では無理だろう。だから今、感染を下方にするためにできるだけのことをする必要がある。国、自治体、国民が一体となって、集中的に感染拡大を止める方向に(向かうべき)」

「緊急事態宣言を出すとか出さないとか(の前に)、やるべきことの1つは...」

   さらに尾身氏は「もう少し時間を頂きたい」と断りながら、これからの対策の取り方について説明した。

「今やるべきことは、緊急事態宣言を出した4月時点とは2つの点で違う。1点目は、4月は『最低7割、極力8割の接触機会の低減』という極めて広範で強力な対策をしたが、今は半年以上の経験をしたことで対策の『急所』が分かっている。2点目は、多くの人が国や自治体の要請に応えていただいているが、『慣れ』もあり、行政への協力が得られにくくなっている。

『急所』は3つ。これを集中的にやることが重要になる。(1)感染リスクが高まる5つの場面、総理も言ったように、飲食を介した感染リスクが高いので、そこを徹底的に抑えること。(2)飲食以外の場でも少人数、できれば4人以下で、いつも一緒にいる家族や友人と過ごすこと。(3)国、自治体のリーダーがさらなる市民の協力を得るべく、一体感を持って明確なメッセージと具体的な対策を提示すること。こうした急所を、国、自治体、国民、事業者が一体となって行えば、私は今の感染状況を下方に転じることは可能だと思っている」

   こうした発言に対し、「緊急事態宣言の発令なしに国民の行動変容は可能か?」という質問があった。菅氏は、

「私自身は可能だと思っています。ありとあらゆる機会に現状を丁寧に説明させていただければ、必ずご理解いただけると思っております」

と自信を示したが、尾身氏はこれまでの対策を振り返る必要性を強調した。

「4月の緊急事態宣言は広範で強い対策を打った。その中には、今考えると必ずしも必要でないものもあった可能性がある。なぜならあの頃はまだ何をしたらいいのか分からず暗中模索だった。今はだんだんと分かってきている。今までの対策を振り返り、こうあったらいいなと思うものがある。

緊急事態宣言を出すとか出さないとか(の前に)、やるべきことの1つは、たとえば時短(要請)の話。それは知事が明確で強力なメッセージを出してもらうことが必要だ。国でも、要請を守ってもらえるインセンティブのようなものを(提示)すること。緊急事態宣言を出しても、それ(インセンティブ)がないとなかなか(要請に応じてもらうことは)難しいと分かった。

私は、これまでの半年以上の対応の中で何が問題だったか、ということを十分に吟味し、その問題点を押さえていくこと、その結果、特措法の改正であったり(を行う)。そうするのが一番効果的であり、現実的であり、求められていることだと思う」

(J-CASTニュース編集部 青木正典)

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