2024年 4月 19日 (金)

テレビとネット「垣根」さらに低くなった2020年 その先にあるものは?【歳末ネットメディア時評】

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テレビ局とコロナ禍、その先の活路

   テレビ局の放送外収益だった大型イベントも、コロナ禍により中止・延期や規模縮小を余儀なくされた。そんな中、ひとつの形を見出したのが、6月からテレビ東京が行った「テレ東無観客フェス」だ。当初はバラエティ中心だったが、のちに「テレ東ビジネスフェス」も開催され、前哨戦としてワールドビジネスサテライト(WBS)の「放送直前の舞台裏」をYouTube中継するなど、あらたな試みも行われている。

   自社が擁するコンテンツや人材をフル活用する例も増えてきた。テレビ朝日のYouTubeチャンネル「動画、はじめてみました。」には、もはや看板アナとなった弘中綾香さんをはじめ、元乃木坂46の斎藤ちはるさん、「ダイエット企画」に挑戦した三谷紬さんといった、自社アナウンサーの個性を生かしたコンテンツが、連日投稿されている。また、「ゲーム実況」に参戦したTBS宇内梨沙アナのように、それまでYouTuberが得意にしてきたジャンルに、会社員の立場で参戦するパターンもある。

   NHKのネット事情も、2020年に大きく変わった。4月に本格スタートした「NHKプラス」によって、受信契約が前提ながら、ウェブ上での同時配信・見逃し配信が可能になった。ライバルの「TVer」(民放各局)も、最大1.75倍速での再生機能を追加するなど、サービス拡充を進めている。NHKの本格参戦で、より環境は変わってくるだろう。

   ブログサービス「note」に12月、「NHK取材ノート」を開設した。「取材に込めた思いや取材手法などをお話します」(プロフィールより)とあるように、先行するTBSテレビ報道局の「ニュースが少しスキになるノート」などと比較すると、ニュース解説よりも、報道姿勢の概論に寄せている印象だ。

   受動的に情報を得られる「放送」と、能動的なアクセスが一般的な「インターネット」では、同じ情報を届けるにせよ、その見せ方は大きく変える必要がある。ウェブ文脈にあった「編集力」をテレビ各局が身につけた時、ネットメディアの役割が問われることになるだろう。

(J-CASTニュース副編集長 城戸譲)

【J-CASTネットメディア時評】
いまインターネットでは、なにが起きているのか。直近の出来事や、話題になった記事を、ネットメディアの「中の人」が論評します。

城戸譲 J-CASTニュース副編集長
1988年、東京生まれ。大学でジャーナリズムを学び、2013年ジェイ・キャスト新卒入社。Jタウンネット編集長などを経て、18年10月より現職。「ニュースをもっと身近に」をモットーに、政治経済からエンタメ、生活情報、炎上ネタまで、真面目とオモシロの両面で日々アンテナを張っている。ラジオとインターネットが大好き。(Twitter:@zurukid

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