2024年 4月 27日 (土)

なぜNiziUは「うさぎダンス」にTikTokを選んだ?  SNS選びに見える「戦略」

   2020年12月2日にメジャーデビューし、話題沸騰中のアイドルグループ「NiziU(ニジュー)」だが、ヒットの一因はデビュー前から早くもキャッチーな楽曲でネットユーザーの耳目を集めたことにある。プレデビュー曲「Make you happy」の「縄跳びダンス」、メジャーデビュー曲「Step and a step」の「うさぎダンス」が、動画投稿サービス「TikTok」に投稿され、若いユーザーに広まった。

   ただこの「縄跳びダンス」「うさぎダンス」をバズらせた戦略は、日本のタレントとは少し違うようだ。NiziUはなぜあえてTikTokを選んだのだろうか。

  • ゆくゆくは先輩グループのようにグローバルを目指すか(NiziU公式サイトより)
    ゆくゆくは先輩グループのようにグローバルを目指すか(NiziU公式サイトより)
  • ゆくゆくは先輩グループのようにグローバルを目指すか(NiziU公式サイトより)

TikTokの強みは?

   NiziUは7月1日にTikTokに公式アカウントを開設、その日に「Make you happy」のサビの振付、通称「縄跳びダンス」を各メンバーが踊る動画が投稿された。11月30日には「Step and a step」のサビ部分の「うさぎダンス」も同じようにメンバー1人1人が踊る動画を投稿、「うさぎダンスチャレンジ」のハッシュタグでTikTokユーザーに踊ってもらうことを狙った。

   ところが、YouTubeの方ではMVやメイキング映像を投稿するにとどまり、インスタグラムでも同種の「踊ってみた」映像は投稿されていない。なぜTikTokだったのか、ITジャーナリストの井上トシユキ氏は、韓国アーティストの先例とTikTokユーザーの年齢層を理由に挙げた。

「韓国でプロデュースされたアーティストでいえばBTS(防弾少年団)が既にTikTokを活発に使い、アメリカなど国外でファンを獲得しています。TikTokはアメリカのユーザーも多く、NiziUもゆくゆくは海外のファン獲得を視野に入れているのかもしれません」

   NiziUが所属するJYPエンターテインメントは特にアメリカ市場への進出にも積極的で、先に結成されたガールズグループのTWICE やITZY(イッジ)は既に全米デビューを果たしている。さらにTikTokの機能にも着目したようだ。井上氏は

「TikTokはツイッターのようにアラートがすぐ来て、ハッシュタグを付けられます。ユーザーには10代・20代が多く、女性ユーザーも多いです。2020年には白のTシャツを着てセクシーに踊ってみる「白Tシャツチャレンジ」というブームがありました。『うさぎダンス』のような気軽に踊れる短い動画をハッシュタグでもって一気に拡散させる効果も狙ったのではないでしょうか」

   と推測する。身近で憧れられるアイドルとして、同世代のユーザーに短期間でバズらせるにはTikTokが適していたようだ。

YouTuber市場のメリット・デメリット

   NiziUのSNS活用術は、インスタグラム・YouTube・ツイッターを重視する日本のタレントとは異なるようだ。日本では昨今はアイドル・お笑いタレント・元スポーツ選手に至るまでこぞってYouTuberデビューが相次いでいるが、これについて井上氏は「YouTubeでは長尺の動画を投稿でき、収益化できるメリットもありますが、新規参入者は数多あるタレントのコンテンツに埋没してしまう恐れがあります」と指摘する。

   インスタグラムは「30~40代のユーザーが多く、TikTokのメインユーザーとは年齢層が異なります」と話した。となると、既に日本でも多くのアイドルグループがしのぎを削る中、知名度を上げるべく競合の少ないTikTokを選んだのも自然な理屈だろう。

   まずは日本で順調なデビューを果たしたNiziUだが、日韓ローカルにとどまらない、長期的な戦略をJYPエンターテインメントは練っており、TikTokの「うさぎダンスチャレンジ」はほんの一端にすぎないのかもしれない。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)

姉妹サイト

注目情報

PR
追悼
J-CASTニュースをフォローして
最新情報をチェック
電子書籍 フジ三太郎とサトウサンペイ 好評発売中