「プラトンニュートンヒノノニトン トントントントンヒノノニトン」その間わずか6秒のYouTube広告が、ツイッターで話題を呼んでいる。広告主は「トントントントン ヒノノニトン」のCMでお馴染みの日野自動車。古代ギリシアの哲学者・プラトンと、イギリスの物理学者・ニュートンを活用した「偉人篇」だ。「ニトンさんもキメ顔して見える」日野自動車は2020年12月1日、「偉人篇」含め8本の6秒動画広告(バンパー広告)をYouTubeで配信し、公式チャンネルにもアップ。あるユーザーがスクリーンショットを22日に投稿したことがきっかけで話題となった。動画ではナレーターが「トントントントンヒノノニトン」と同じリズムで「プラトンニュートンヒノノニトン」とリズミカルに口ずさむ。シンプルで落ち着いた演出となっているだけに、どことなくシュールさが際立っている。ツイッターではこの動画に対し、「フハハハハハーって漫画みたいな笑い声出たwwwww」「一発のインパクトが凄いですね()」「『ラーメンつけ麺僕イケメン』のようなテンポの良さを感じますw」「二トンさんも何気にキメ顔して見える」といった声が寄せられている。好評を博した「偉人篇」(日野自動車YouTubeチャンネルより)この動画はどのようにして生まれたのか。J-CASTニュースは21年1月8日、日野自動車の広報担当者を取材した。担当者によれば、日野自動車がバンパー広告を出すのは今回が初めて。マスメディアに代わる媒体として出稿したという。今後はこの効果を検証したうえで、費用対効果の良い媒体を選び出稿計画を立てる考えだ。「偉人篇」を制作したのは日野自動車を担当する博報堂のクリエイティブチーム。このような構成にした理由を聞くと、「『ヒノノニトン』を印象に残していくために、ヒノノニトンそのものを連呼するのではなく、『トン』のつく別の名称とヒノノニトンを並べてリズムカルに訴求する構成を考えつきました」(日野自動車・広報担当)とのこと。その中でもプラトンとニュートンを選んだのは、「みんなが知っている人名」を探っていた際に、すぐに浮かんできたからだといいい「逆に、それ以外の人名はそこまで有名でないため排除しました」としている。韻研究家「ラップとしては最も低いレベルですが...」それにしても、なぜこの動画はここまで話題になったのだろうか。日野自動車が「トントントントンヒノノニトン」のリズムをCMに起用したのは2014年から。担当者は「2トントラックがあることをわかりやすく伝えるために、リズムに乗せるアイデアを採用しました」と話している。耳に残るキャッチコピーであることは言うまでもないだろう。しかし、なぜこの動画がバズったのかを聞いてみると、「それが分かれば仕事が楽なのですが、何が当たるか判断するのは難しいです。わからないため、今回も8種類制作しています」(日野自動車・広報担当)との回答。たしかにそうだ。なぜ「偉人篇」だけがバズったのか...(日野自動車YouTubeチャンネルより)J-CASTニュースは20年1月8日、動画SNSデータ分析ツール「kamuitracker」を提供するエビリー(東京都渋谷区)のマーケティング担当者を取材。なぜこの動画がバズったのか見解を聞いた。「SNSで拡散したくなる1つの要素として、『ツッコミ』たくなることが必要かと思います。この動画は意図的に情報量を減らしていると思われ、説明は不足し、意味もよくわからない。でも韻を踏んでいておもしろい。『広告なのにこれでいいの』『何を言っているかわからない』というツッコミを狙っていると思います。プラス、自分がみても面白いし、人が見ても面白いだろうということで拡散されたと思います」さらに担当者は、他のYouTube広告と比較し、「YouTube広告はブランディングよりも商品を買わせようという意図のものが多いです。その中で、このようにモノをまったく売ろうとしていない、ちょっとよくわからない広告というのは、かなりインパクトがあり、頭に残ると思います。YouTubeだとこういうタイプの広告はあまりないので」(エビリー・マーケティング担当)と分析している。担当者の話にも出たように、「プラトンニュートンヒノノニトン」は韻を踏んでいるのも特徴の1つ。『声に出して踏みたい韻』(オーム社)の著者である韻研究家・細川貴英さん(34)にも見解を聞いたところ、「ラップとしては最も低いレベルですが、わかりやすいのだと思います。ジョイマン的な面白さがありますね。ただ、ラッパーだったらもっと母音を合わせてきます。『揖保乃糸(いぼのいと)』みたいに」と回答。お笑いコンビ・ジョイマン高木晋哉さんのネタ「ありがとうオリゴ糖」が一時ブームになったのと、通ずるものがあるのかもしれない。なお「偉人篇」の広告配信は20年12月23日で終了。動画は日野自動車の公式チャンネルから見ることができる。(J-CASTニュース編集部 笹木萌)
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