「家に本届いた子たちはどうするんだ」 開催前日に同人誌イベント苦渋の「延期」...主催者語る激動の2日間

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寒空の下、イベント会場にいた赤桐さん

   記者が青海展示棟に到着したのは朝7時過ぎ。辺りはまだ薄暗く、気温は15度ほどか肌寒く感じられた。建物は締め切られており、屋外のベンチに赤いスタッフジャケットを羽織った赤桐さんがいた。朝6時半ごろから、誤って来場した人の対応を行っているという。

   赤桐さんはニコニコしながら話をしてくれた。そこにSNS上で推測されていたような悲壮感は感じられなかった。ツイッター上では「東日本大震災の時に自社ビルを売るほど追い詰められていたのに大変そうだ」と言う声も寄せられていたが、赤桐さんは否定する。

「縁があって名前つけたビルですけれども、そもそもあれは自社ビルじゃないです(笑)以前は事務所が分散していて、社員間の円滑なコミュニケーションのためにワンフロアにした方が良かったのでお引越ししただけなんですよ」

   赤ブーブー通信社は東日本大震災の後に事務所を移動しているのだが、決して震災の影響ではなかったという。赤桐さんは「引っ越すとき冷蔵庫も電子レンジもたくさん出てきて困っちゃいました。今はワンフロアなのでそんな心配ないですね」と笑った。

   また現時点ではクラウドファンディングを行う予定はないと話す。

「大変ではありますが大丈夫です。皆さんの気持ちは、本当に有り難くて私たちを前向きにしてくれます。でも、サークルの方(出展者)は本を作って公開して、一般の方は大好きなサークルさんの本にお金を出していただければ。そうすればサークルさんはイベントに出たくなってくれる。その際に弊社を選んでいただけたら嬉しいです。
規模は小さくなっていますが、次々と即売会のスケジュールが決まっていますので、クラウドファンディングでこの生態系をすっ飛ばす必要はないです、焦らなくて大丈夫です。サークルが動かなくなればいずれ僕らの仕事もなくなってしまうので、サークルの方が描きたいと思えるよう「本が生まれて流れる環境」が大事です。弊社を甘やかす必要はありませんよ」

   赤桐さんの頭にはもう次のイベントのことがあるようで、「切り替えていかなければいけない」と意気込む。そして自分たちのことよりも、参加者の心配をしきりに口にするのだ。

「家に本届いた子たちはどうするんだっていう。印刷会社が本を刷って持っていくだけの状態に、参加者はお金を払っていた。会社じゃない個人ですし、心配です」

   さてそんな赤桐さんに、寒空の下で中止までの経緯を尋ねた。

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