2024年 4月 18日 (木)

「プロレスで元気を」言えなかった11年前 地元被災のレスラーが、避難所のリングで見つけたもの #知り続ける

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避難所の体育館、ステージにマットを

   2011年7月、藤本さんはレスラーたちと岩手県と宮城県を巡るプロレス「被災地キャラバン」を実現させた。普段のようなリングを設営しての試合ではない。マットを敷くだけのファイトだ。全4日間。藤本さん自身は1日3試合を戦った日もあった。「アイスリボン」の仲間のほか、地元のレスラーも駆けつけてくれた。「怒涛の日々でした」と振り返り、笑った。

   最初の会場は、避難所の体育館。ステージ上にマットを準備した。

「本当に受け入れてもらえるかな。今、必要なのはプロレスじゃないのでは」

   試合前は不安だった。いつもとは雰囲気が全然違う。まず、会場の子どもたちをステージにあげて一緒にマットで運動し、触れ合った。当時はコロナの心配がなかったので、試合後はレスラーがステージから下りて見物していた避難者と握手して回った。

「感動して泣いている人、声をかけてくれる人が大勢いたんです。それで初めて、『こういう形でも、役に立てるんだな』と分かりました」

   宮城県内を訪問するうちに、「ここまで来たら利府町でやりたい」と、藤本さん自ら町の保育園に電話、直談判した。園児は地震の際、天井が崩れて怖い思いをしたと聞いた。「笑えるように楽しませてあげて」と先生に頼まれ、ハッスルした。「小さなお客さん」たちは、「怖いレスラー」の登場に号泣し、「正義の味方」には大声で「がんばって」と声援を送る。みんな、大喜びだった。

   「プロレスで元気に」は、間違っていなかった。同時に「私自身も救われました」。

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