SNSなりすましで私は仕事を失った 加害者は友人...和解勝ち取った被害者の記録
2022.04.03 17:00
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40万円かけて相手を特定、時間の壁も
Aさんはなりすました人物を特定するため、弁護士と契約して名誉毀損で発信者情報開示請求を進めた。仕事を辞めてから1週間後の出来事だ。
「開示請求は時間との勝負で、一日二日遅れたらプロバイダー(接続事業者)のログが無くなってしまうことを知っていました。なので起きる気力もなかったですが、弁護士に連絡しないと......という状況でした」
まずはツイッター社にネットの住所にあたる「IPアドレス」の開示を求め、約1か月で通知があった。次に、プロバイダーに契約者情報を請求し、約7か月後に氏名や住所などがわかった。加害者は、教育関係の友人だった。特定には40万円かかった。
21年夏に慰謝料約268万円の支払いを求めて民事訴訟を起こし、22年3月に和解が成立。加害者は満額の支払いを認めた。
訴訟後、相手方からはすぐに和解案が示されたものの、主な争点は被害の公表についてだった。Aさんは「相手を貶める目的ではなく、同じことをする人をなくしたかったからどうしても世に広めたい」との強い思いがあり、最終的には加害者を特定できない形であれば認められると和解条項で定まった。