2024年 5月 5日 (日)

有名写真家「パクリ疑惑」で謝罪 海外作品を無断加工、SNSで披露も...本人は盗用否定「他者に投稿任せていた」

   建築などを撮った作品で知られる著名な写真家のアキラ・タカウエさんが、スロバキアの写真家ボリス・ミハリチェクさんの作品を反転させるなどして無断で使用していると、ツイッターで指摘があった。

   タカウエさんは、指摘された作品をツイッターから削除したうえで、公式サイトで「盗用」を否定し、「(SNSの)投稿を他者に任せて重大問題が発生した」と説明した。ミハリチェクさんは、タカウエさんから誰かが勝手に投稿したとの説明があったとしたうえで、無断使用については謝罪があったと取材に答えた。

  • 無断転用とされたツイッター投稿の作品
    無断転用とされたツイッター投稿の作品
  • ボリス・ミハリチェクさんの作品(インスタ投稿から)
    ボリス・ミハリチェクさんの作品(インスタ投稿から)
  • 無断転用とされたツイッター投稿の作品
  • ボリス・ミハリチェクさんの作品(インスタ投稿から)

国際的写真展で最優秀賞を受賞し、コンテスト審査員も務める

   タカウエさんのツイッターに投稿されたのは、「夕霞」と題した写真だ。

   夕焼けの空の下、山々の間に霞がかかった幻想的な作品になっている。

   ところが、2022年11月20日になって、別の写真家から、中欧の国スロバキアの写真家ミハリチェクさんの作品を無断で使用しているとツイッターで指摘があった。

   それによると、ミハリチェクさんが6月26日にインスタグラムに投稿した写真「タトラ山脈の尾根」を反転して色味を変えたものになっているとした。タトラ山脈は、ポーランドとスロバキアの国境にある。実際に、タカウエさんの作品と比べると、色が少し濃くなっている以外は、反転させた構図がほぼ同じだ。

   この指摘の後、タカウエさんのツイッターから作品の投稿は削除され、その後、別の作品投稿も次々に削除された。そのことについての説明はなく、11月21日夕現在は、ツイッターのアカウントも削除されている。

   タカウエさんの公式サイトも、多くが見られない状態になっているが、カメラメーカーなどのサイトによると、タカウエさんは、一級建築士で工学博士号を持ち、国際的な建築のプロジェクトにも関わっていた。その一方で、建築などの写真撮影も手がけ、2013年には、米ニューヨークのカーネギーホールで行われたインターナショナルフォトグラフィーアワードで建築写真総合部門の最優秀賞を受賞するなどしている。最近は、アートギャラリーで個展を開いたり、国際写真コンテストの審査員を務めたりしている。

作品を無断転用された写真家は、「自分のSNSには責任がある」と苦言

   スロバキアの写真家ミハリチェクさんは11月21日、J-CASTニュースの取材に対し、インスタに投稿した「タトラ山脈の尾根」の写真は自らが撮影したものだとしたうえで、次のように答えた。

「私は、この写真家が私の写真を許可なく使用したことを確認しました。また、写真の位置情報をトルコに変更したり、写真を反転させたりしたと思っています。もちろん、私の許可なしに私の写真を使用することに同意しません。すべての写真には、多くの費用、時間、労力が隠されているため、誰かがそのように使用するのはフェアではありません。さらに、この方は写真家でもありますので、そのことを理解する必要があります」

   ミハリチェクさんは、インスタ上でタカウエさんを見つけて、タカウエさんにメッセージを送ったとした。これに対し、タカウエさんは、ミハリチェクさんに謝罪したうえで、「他の誰かがツイッターに投稿したので、自分がやったわけではない」と釈明したという。しかし、ミハリチェクさんは、「ツイッターを誰が運営しているかどうかに関係なく、自分のSNSについては責任があると思います」と苦言を呈した。

   タカウエさんは21日夜、公式サイトのトップページを更新し、「皆様」あてに「Twitterにおける投稿写真につきまして、大変ご迷惑をお掛けしております」と切り出したうえで、今回のことについて、次のように説明した。

「私自身、過去から現在において個展作品から広告写真に至るまで、他社作品データの盗用及び改竄等、一切行っておりません。しかしながら一方で、特にTwitterにおいて一部共同運用として他者に任せることにしてしまい、その過程において当該重大問題が発生いたしました。当然のことながら、投稿に関する確認そしてチェック等は私自身の責務とするべきところですがそれを怠っていたとともに、このような運用となってしまったことについても大いに問題があり、当該問題に対する責めは私にあるものと考え、お詫びの言葉すら見つかりません。重ねて恐縮ですが、応援していただいていた方々、各社関係者各位、そして皆様に対し、多大なる御迷惑と御心配をお掛けしたことをここに深くお詫び申し上げます」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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