2024年 4月 19日 (金)

経費でコンパニオンと混浴三昧...拒否騒ぎ後も業者変更で継続 TOKAI HD前社長「非常識接待」常態化の背景

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   エネルギー事業を中心に手がける東証プライム上場企業の「TOKAIホールディングス(HD)」(静岡市)は2022年12月15日、中小企業庁長官も務めた鴇田(ときた)勝彦前社長(77)の経費の不正使用疑惑などについて調査報告書を公表した。

   鴇田氏は9月、内部通報をきっかけに取締役への降格人事が発表されていた。交際費の使い込みに加え、常態化していたコンパニオンとの混浴も問題視され、報告書では「混浴」が105回登場する。

  • TOKAIホールディングスウェブサイトより
    TOKAIホールディングスウェブサイトより
  • 鴇田氏(TOKAIホールディングスウェブサイトより)
    鴇田氏(TOKAIホールディングスウェブサイトより)
  • 調査報告書より
    調査報告書より
  • TOKAIホールディングスウェブサイトより
  • 鴇田氏(TOKAIホールディングスウェブサイトより)
  • 調査報告書より

漫画も大量購入

   鴇田氏は京都府副知事や中小企業庁長官などを歴任し、通商産業省(現・経済産業省)時代に業務上のつながりがあったことから02年にTOKAI HDの前身であるザ・トーカイの顧問になった。2011年から社長を務める。

   不適切な経費使用が内部通報で発覚し、9月の取締役会で社長職を解任された。同社は社外有識者らの特別調査委員会を立ち上げ、12月15日に報告書を公表した。

   報告書によれば、過去6年で業務との関連が疑わしかった会食や宿泊は253回に上り、総計は約1000万円だった。

   そのほか、経費での電子コミックの大量購入(「鬼滅の刃」「怨みや本舗」「ザ・ ファブル」「黄昏流星群」「ピンクのカーテン」「浮浪雲」)や、歌舞伎鑑賞・相撲観戦が指摘されている。鴇田氏は前者について「TLC(トータル・ライフ・コンシェルジュ)企業を目指すという指針のもと、一般消費者の間での流行り等を把握するための情報収集として」、後者は「重要先を招待している関係上、自身もその方面に造詣を深めておくことが『社長としてのたしなみ』であるとの認識のもとに、自身のみまたは親族等接待先でない人物とともに、歌舞伎鑑賞や相撲観戦をしたこともある」との旨の釈明をしているという。

コンパニオンが拒否する騒ぎも

   数々の指摘の中で目を引くのが、女性出張コンパニオンとの混浴だ。解任理由の一つで、本文中では「混浴」が105回登場する。

   会社が所有する保養施設「VILLA TOKAI 蓼科」(長野県茅野市、2016 年5月建築)で、主に取引先の接待時(招待客に女性がいる場合を除く)に行われていたという。

   これまでに女性出張コンパニオンを44回手配し、その際はほぼ毎回、露天風呂で混浴を楽しんだ。おおむね男性はタオルで局部を隠し、女性は湯あみを着用していた。調査に協力したコンパニオン2人は、混浴時も身体的接触は一切なく、鴇田氏は紳士的に振る舞っていたと話している。

   17年10月には、コンパニオンの一人が混浴は知らされていなかったとして拒否する騒ぎがあった。継続の可否について社内で議論となり、法務室は「単に混浴するだけの場合は、参加者の性的好奇心を満たすものとは言い難いと考えられるが、この場合であっても、通常の接待の範囲を超えると行政から指摘されるリスクがある。また、世間に知れ渡ることにより当社の信用が低下するリスクもある」との旨の結論を出した。

   報告を受けた鴇田氏は「そうか」という程度の反応であり、中止にはならなかったという(鴇田氏はそのような書面は見た記憶がないなどと主張)。結局、別のコンパニオン派遣業者に切り替えて混浴を続けた。

「私欲のために品位のない混浴を行っていたとする主張は、全く論外」

   その後、取引先から鴇田氏に「混浴がTOKAIグループ内で噂になっている」旨の指摘があったというが、やはり中止とはならず、調査委は「二度の契機がありながらも混浴が継続されていたことは遺憾であると指摘せざるを得ない」と判断している。

   調査委が施設の利用経験があるTOKAIグループの役職員にアンケートしたところ、「行く前から『露天風呂で混浴させられる』という噂は聞いており、非常識すぎると思い、参加したくなかったため、トイレの個室にこもって隠れて、混浴には参加しなかった」「混浴への参加を断ることで、当該混浴自体が異常なものであるという意思を表示した」との回答があった。

   鴇田氏は、コンパニオン派遣は「会社の業務の一環」と強調し、「私が私欲のために品位のない混浴を行っていたとする主張は、全く論外の主張です」「各界の社会的地位が高い方をお招きした経過もありますので、この余興に参加されたこれら方々も含め、皆品位を欠く行為をしていたという主張は、極めて熟慮を欠いたものといわざるをえません」と提出書面で反発している。

   解職動議を発議した取締役3人も混浴に参加したと述べ、「仮に『混浴』が品位を欠く行為とされるのであれば、これに参加した上記役員も同様の批判を受けるべき」との考えだ。報告書ではAは強要された旨、Bはコンパニオンの入浴時には浴室から退室するようにしていた、Cは否定――と記されている。

背景に「モノを言えない企業風土」

   調査委は一連の問題の原因の一つに、鴇田氏に「モノを言えない企業風土」を挙げる。

   鴇田氏の前任者はいわゆる「ワンマン社長」として知られ、約30年にわたって絶対的な存在だったという。その名残から「社長の指示には従うべきである」「社長の意向を汲んで行動すべきである」という意識が浸透し、トップにモノを言えない社内風土があったと分析する。

   報告書によれば、鴇田氏は役員人事や報酬決定に大きな影響力を持ち、「(役員の中には)意見を言うことは困難であると感じる者が一定程度存在」した。自身の定年を例外的に延長し、2021年度の役員賞与は鴇田氏が1億2000万(子会社取締役としての賞与も含む)に対し、ほかの取締役は0円から2000万円だった。

   混浴についても、ガバナンス(企業統治)不全が背景にあるとする。一部の役員は問題意識を以前から持っていたものの、指摘しても鴇田氏の言動に変わりはないばかりか、自らの失職につながるとして静観していたケースも明らかになっている。調査委は「(役員の鴇田氏への)牽制は不十分であったといわざるを得ない」と非難した。

   TOKAI HDは報告書を踏まえ、年内を目途に再発防止策を公表する。

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