2024年 4月 20日 (土)

首相襲撃、容疑者の「人となり報道」に学者ら批判 問われる「卒業文集」のニュース価値

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   岸田文雄首相の演説会場に爆発物が投げ込まれた事件で、木村隆二容疑者(24)の「人となり報道」が過熱している。

   中でも、光やブラックホールについて記した中学の卒業文集は「異質文章」などと取り沙汰されているが、科学者などの間で反発が広がっている。

  • 時事通信のツイッターより
    時事通信のツイッターより
  • 朝日新聞ツイッターより
    朝日新聞ツイッターより
  • 時事通信のツイッターより
  • 朝日新聞ツイッターより

「こういう報道は止めた方がいい」

   時事通信は2023年5月7日、「中学文集『光とブラックホール』 木村容疑者、思い出など記さず―首相襲撃事件」とのタイトルで木村容疑者の人となりに迫った。

   記事によれば、中学の卒業文集は光やブラックホールをテーマに選び、「同級生らが中学時代の思い出などを記す中、学校生活や友人との思い出には触れていなかった」と異様さを指摘している。

   同様の報道は他社もしている。テレビ朝日系の情報番組「グッド!モーニング」は4月18日、独自ネタとして卒業文集を取り上げた。「異質文章」と評し、時事通信と同じ論調だった。朝日新聞も21日、「人と関わらず文集に『ブラックホール』 首相襲撃、容疑者の中学時代」と後追いしている。

   中学だけでなく小学校の卒業文集も、日経新聞(原稿は共同通信)、フジテレビ、産経新聞、現代ビジネスなど多数のメディアが議題にしている。

   時事通信の記事はツイッターで注目され、学者や弁護士らから8日夜までに1300件以上の意見が寄せられている。多くは違和感や苦言で、「科学に興味ある人への偏見を助長するような記事」「学校生活や友人との思い出に触れないのはなんか問題あるのか」「こんなことが事件の動機、背景の解明に繋がるはずがない」「こういう報道は止めた方がいい」といった書き込みが少なくない。

   事件と直接関係ないアニメやゲームと結び付けて批判された、過去の人となり報道を思い出す人も少なくなかった。例えば2019年に起きた神奈川県川崎市の殺傷事件では、一部のテレビ局が「男の自宅からテレビやゲーム機」と速報してバッシングを浴びた。

   21年には、ウェブメディア「AERA dot.」が、東京都墨田区の女子高生死体遺棄容疑で逮捕された夫婦を「アニメ好き」と紹介し、やはり物議を醸した。

   運営元の朝日新聞出版は「記事は重大事件の容疑者の人となりに迫ろうとしたものであり、趣味と容疑とを関連づけるものではありません」とJ-CASTニュースの当時の取材に釈明するも、その後見出しを修正した。

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