ジャニーズ事務所創業者のジャニー喜多川氏=2019年に87歳で死去=による性加害を初めて「実名、顔出し」の記者会見で訴えたカウアン・オカモト氏が2023年9月8日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で改めて記者会見する。オカモト氏が特派員協会で被害を訴えたのは4月12日。この頃まではメディアの報道は「黙殺」状態だったが、記者会見や英BBCの番組で注目度が上昇。9月7日にジャニーズ事務所が開いた記者会見で事務所側が事案を認めて謝罪し、藤島ジュリー景子社長の引責辞任も明らかになった。オカモト氏は8月、一連の経緯をまとめた著書「ユー。ジャニーズの性加害を告発して」(文藝春秋)を出版したばかり。会見では、この5か月の動きをどう評価するのか。著書や前回の会見を手がかりに、注目すべきポイントをさぐった。「ジュリーさんは顔を出して、説明した方がいいと思いますよ」論点のひとつが喜多川氏への評価だ。オカモト氏は4月の会見で、「ジャニーさんには個人的には感謝の気持ちを今も持っている」と発言。「ジャニーさんが当時15歳の僕やその他のジュニアに対して性的行為を行ったことは悪いことだと思っている」とも述べていた。著書では、性被害の様子を描写した上で「それでも僕は、ジャニーさんに感謝している」とある。さらに「性加害が悪であるのは確かだ。でも人間って、みんな完璧じゃないと僕は思っている」とも説明している。同様の評価を改めて口にするかも焦点だ。もう一つの論点が新旧経営陣に対する評価。オカモト氏は23年5月、藤島ジュリー景子社長と2時間にわたって面談している。著書によると、ジュリー氏は「私は本当に知らなかったの。本当なのね...。申し訳ない」と話したという。この時点でのジュリー氏に対する評価は「さすがに彼女も、これまで出てきている様々な証言や証拠を見て、ショックを受けていたのだと思う」というものだ。面談では、オカモト氏はジュリー氏に対して「ジュリーさんは顔を出して、説明した方がいいと思いますよ」と伝えたという。この点は記者会見という形で実現しており、記者会見ではある程度前向きな評価を口にするとみられる。一方で著書には、社長に就任した東山紀之氏に関する記述はない。東山氏が一連の事案を「うわさとしてはもちろん聞いていた。私自身は被害を受けたことがなく、受けている現場に立ち会ったこともない。先輩たち、後輩たちからも相談はなかった」と説明した点について、その信ぴょう性をどう評価するかもポイントだ。これに関連して、被害者への謝罪や補償に関する評価についても言及することになりそうだ。「メディアのあり方」にはどう言及?4月の会見では、メディアのあり方にも話題は及んだ。NHKのディレクターが「もし当時、大手メディアが報じていたら、ご自身の選択は変わったと思うか。例えばジャニーズに入所すること自体ためらったり、選択は変わったと思うか」と質問したのに対して、オカモト氏は「その時になってみないと分からない」とした上で、「もしテレビが当時取り上げてたら、大問題になるはず」で、「親も多分行かせない」と指摘。「どっちの角度から見ても、多分なかったのではないかと思う」と話していた。9月7日に開かれた「ジャニーズ性加害問題当事者の会」の記者会見では、テレビ局は第三者委員会を立ち上げて経緯を検証し、所属タレントの起用を見合わせるべきだとする声も出た。メディアに対して、どの程度厳しい対応を求めるかも論点になりそうだ。(J-CASTニュース編集部 工藤博司)
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