水原一平氏はなぜ大谷翔平に安心感を与えられるのか 選手40人以上担当の元NPB通訳が語る「親しみやすさ」の源泉

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「アメリカ人が聞くとすごくクールに聞こえる」

   篠田氏からみると水原氏は自然にチームに溶け込んでおり、それはアメリカで育ったことが大きな要因だと指摘する。

「日本育ちでアメリカの大学を出て日本人選手の通訳をしている人は、日本から来ているお客さんのように見えます。その点でいえば水原さんは振る舞いがネイティブに見えるので自然なんです。そこが大谷選手に安心感を与えるところだと思います。監督やコーチとのやりとりを見ていると『私通訳しています』という感じはなく、ごく普通に話している。ちょっとぶっきらぼうに聞こえますが、そこが格好良い。大谷選手は丁寧に答えますが、それをネイティブのアメリカ人が答えているような感じで訳す。アメリカ人が聞くとすごくクールに聞こえると思います」

   さらに「水原さんが大谷選手から信頼される仕事をしているから水原さんにもリスペクトがいく」とし、「周囲は水原さんのおかげで大谷選手が何の不安もなく野球に集中できていると感じている。一昨年のオールスターのホームランダービーでキャッチャーをやっていましたが、そのぎこちない姿に愛嬌がある。頑張っているなと。不器用な感じでキャッチャーを務めるところに親しみがわくのだと思います」と、水原氏の人柄に言及した。

   篠田氏は大リーグにおける通訳の重要性について次のように話している。

「メジャーリーグではスペイン語圏出身の選手が増え、スペイン語の通訳も採用されるようになりました。選手の良いところを引き出すには通訳が必要だという考えになってきたと思います。これは日本人選手の影響で、コミュニケーションが大事だという考え方が広まったからだと思います。野茂英雄さん(95年ドジャース入団)がメジャーリーグに行った時は『メジャーリーグに挑戦』と言われていましたが、今は助っ人として行く時代になりました。そうすると、『アメリカに来たからアメリカに倣って英語を勉強しろ』とは言わない。『活躍してくれれば良い。そのための環境は整えるから』と。お互いに分かり合えて選手の良いところを少しでも引き出したいという考えです」

   西武ライオンズで7年、横浜ベイスターズで7年、計14年で40人以上の選手を担当してきた篠田氏は「通訳はアンパイヤの仕事と似ている。どちらも仕事ができて当然という見られ方をして失敗は許されません」とし、「通訳がグラウンドでやれることは限られているので、選手の日々の生活をいかに安定させて野球に専念できる環境を作れるかが大事だと思います」と語った。

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