親切心に付け込む手口
――なるほど。訪問買い取り業者の中には、不要品を買い取ると言いながら、本当の狙いは、金などの貴金属という業者がいるわけですね。
岩﨑さん はい。貴金属を安く買いたたいて、高く売るのが彼らの目的です。そのために、高齢女性の家に電話する時は、ソフトな印象を与えるために女性や、孫世代の若い男性を使います。若い男の子だと、高齢女性のハートをつかみやすくなるという計算があります。
世界の困っている人々や、東日本大震災の被災者たちを支援するために不要品を提供してほしいと訴えます。すると、高齢女性の警戒心のハードルがさらに下がります。その際、「お皿1枚でいいから、お願いします!」というのがトークの定番になっています。
――それは、なぜですか。
岩﨑さん 昔は、「古着で結構ですから」が決まり(文句)でしたが、最近は「うちに着物はありません」と電話を切られるケースが多いので、今は「お皿1枚でいいから」と親切心に付け込むのが一般的になっています。食器がない家などありませんから、断りづらくなります。
――悪知恵が働きますね。
岩﨑さん はい。その知恵をもう少し、いいことに使ってもらいたいものですね。現在、特定商取引法によって飛び込みで訪問購入をすることは禁じられていますから、彼らも何とか電話で自宅訪問の承諾を取り付けたいと、必死なのです。
――彼らからの被害を防ぐにはどうしたらよいでしょうか。
岩﨑さん まず、購入業者から電話がかかってきても、安易に訪問を承諾しないことです。また、飛び込みは本来、禁止されていますから、突然訪問してきた業者は絶対に家に入れないことです。
――こちらからチラシなどを見て、不要品購入を頼んで家に入れた場合はどうでしょうか。
岩﨑さん その場合でも、「食器や古着を買い取る」と言われて訪問を承諾したのに、訪問後「貴金属はないか」と別の商品の勧誘をすることは、特定商取引法で禁止されています。 買い取りを希望しない場合は、キッパリ断りましょう。また、貴金属の買い取りを承諾している場合でも、かなり安く買いたたかれるケースがみられますから、あらかじめ相場を調べておくことをおススメします。
(J-CASTニュースBiz編集部 福田和郎)