芸能人のアパレルブランド立ち上げ 過去事例にみるビジネスの成功と失敗を分けるカギ

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   俳優でモデルの榮倉奈々さん(35)が2023年10月6日、アパレルブランド「newnow」を立ち上げたと、自身のインスタグラムで発表した。これに際し、榮倉さんは新会社を設立。複数メディアの報道によると、最高経営責任者(CEO)には本人が就任したという。

   芸能人がアパレルブランドを立ち上げることは、決して珍しくない。これまでにいくつものブランドが誕生し、現存するもの、消滅してしまったものがある。成功の秘訣は何か、識者に取材した。

  • 榮倉奈々さん(写真:REX/アフロ)
    榮倉奈々さん(写真:REX/アフロ)
  • 榮倉奈々さん(写真:REX/アフロ)

「ライフワーク」にしている芸能人

   J-CASTニュースBiz編集部は、ファッションテック企業「StylePicks」CEOの深地雅也氏に聞いた。同社は、アパレルECサイト運用のディレクションなどを手掛ける。

   芸能人のアパレルブランドが一定の知名度を維持しつつ長続きするなど、成功したと言えるケースをたずねると、深地氏は2人の名前を挙げた。

   梨花さん(50)と、小嶋陽菜さん(35)だ

   「比較的、長く続いたものですと梨花さんの『メゾンドリーファー』が有名ですが、バックに大手アパレル(ジュングループ)が付いていたことから、アパレルのノウハウであるPR、MD(マーチャンダイザー。商品の企画・開発などを行う業務)、生産などが担保されていたこと。また、梨花さんにとってブランド運営がライフワークであったことが挙げられます」

   「メゾンドリーファー」は、2019年まで約7年にわたって梨花さんが運営した。

   また深地氏は、「ライフワークという観点では現在『ハーリップトゥ』を運営されている小嶋陽菜さんも、似たような印象を受けます」という。2人に共通するキーワードは「ライフワーク」だ。なお、2018年までファッションブランド「プラージュ」のコンセプターを務めた俳優の辺見えみりさん(46)も、類似の例と考えられるとした。

自身のイメージと切り離してブランド運営できるか

   芸能人が立ち上げたアパレルブランド成功のカギを、深地氏はこう考える。

「ご本人のライフワークであり、かつアパレルのノウハウが担保されている(こと)。また、ご本人の人気にも左右されてしまうので、最終的に自身のイメージと切り離してブランド運営ができるか、が肝だと思われます」

   要は、その芸能人自身の本気度とノウハウ、覚悟次第といったところか。逆に失敗する理由は「アパレルのノウハウが無い・ご本人に熱量が無い、になります」と指摘し、こう続けた。

「以前、とあるモデル・芸能人のプロジェクトに関わったことがありますが、いずれか、もしくは両方該当しております。芸能人側も、声がかかるとその気になるかたが多いようですが、スタートしてみたらそこまでライフワークにできなかったケースを数件確認しております」

   では今回、アパレルブランドを立ち上げた榮倉奈々さんの場合、ブランド運営上の強みは何か。深地氏は、

「榮倉さんはファッション誌のモデル出身であり、雑誌媒体に出られる機会があります。また、ブランドのアンバサダーなども務めていますので、『感度』という意味ではイメージは悪くありません。また、小嶋陽菜さんのように自身のブランドを着用した上でファッション誌に出られるのであれば、PR面は有利になるのではないでしょうか」

と答えた。

(J-CASTニュースBiz編集部 坂下朋永)

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