解雇規制が変わらなければ「同じことは何度も起こり得る」?
伊藤議員の「100社もの会社に落ちた」については、大げさに盛っているのでは、と冷ややかな反応もあったが、当時を知る人たちから補足の投稿も見られる。たとえば、このようなものだ。
「この就職氷河期の時代はまだ就活サイトがメインではなかったので、履歴書は全て手書きで一枚一枚書いて、証明写真もいちいち用意していたの怖すぎる。さらに圧迫面接まで存在してるの、こんなの人間を壊すための拷問だよ」
「その投稿見ました」――。派遣社員を経て、現在は都内のIT企業で働いている40代女性A子さんは、この問題を笑う国会議員がいたことに驚いたという。
「日本の就職氷河期は人災であり、政治に大きな責任があるという指摘をする人もいましたけど、本当にそうなんですよね。とはいえ、現在の政治家にも根本的な解決は難しいのかもしれませんけど...」
大学で労働法を学んだA子さんによれば、日本の解雇規制は、会社が破綻寸前にならなければ経営上の理由によるリストラを許さず、既存社員の解雇をする前に、新卒採用をストップしなければならないという。
氷河期世代は、親世代の「団塊世代」の雇用を守るための犠牲になった側面も考えられ得る。とはいえ、親亀がコケれば子亀もコケるリスクもあった。
「本来、新卒社員は毎年一定数を採用しつづけないといけないはずなんです。じゃないと社員の年齢構成も崩れるし、社会的な問題も大きくなります。新卒を採用しながらリストラができる解雇規制に変えなければ、同じことは何度も起こりうるんです。でも、もしいま解雇規制がゆるくなれば、氷河期世代が真っ先に犠牲になりそうなのが頭の痛いところなんですけどね」