1年間で約13%の芸能事務所が表舞台から消えた
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した東京商工リサーチ情報本部の内田峻平(うちだ・しゅんぺい)さんに話を聞いた。
――そもそもですが、東京商工リサーチが企業データとして把握している「芸能プロ」とは国内にどのくらい存在し、登記上、何を持って「芸能プロ」というのでしょうか。
内田峻平さん 弊社データベースの収録企業のうち、日本標準産業分類で抽出すると、「芸能プロ」は約1500件がヒットします。会社の商業登記簿の目的欄で「演技者、音楽家、タレントの育成、招聘及びマネジメント」などの記載がある企業を「芸能プロ」としています。
業務は、タレントの活動支援全般で、マネジメントから発掘・育成、PR、ギャラの交渉、最近ではコンプライアンス対応など、多岐に及びます。
――約1500社のうち193社というと、1年間で約13%も表舞台から消えたわけですが、これほど芸能プロの倒産や休廃業・解散が多い理由はズバリ、何が一番大きいですか。メディアとしてのテレビの凋落でしょうか。すでに2021年に広告費ではテレビはインターネットに抜かれており、企業もテレビ一強からSNSを使っての宣伝広告にシフトしている状況ですが。
内田峻平さん テレビの凋落でメディアが多様化したことに加え、コロナ禍で仕事が減少したり、制作費が削減されたりして収入減となって経営を直撃した芸能プロが、倒産や休廃業・解散に追い込まれたとみています。
――リポートにある芸能プロ「フィット」「サムデイ」「夕顔」の破綻理由を簡潔に説明してください。
内田峻平さん 「フィット」は同業者との競争が激化し、給料の未払いなどが報じられていました。「サムデイ」はコロナ禍で経営環境が悪化し、売上が悪化していました。
「夕顔」は有名俳優の個人事務所でしたが、俳優が未成年(女子高生)との飲酒などが問題になり、活動休止に追い込まれたうえに、損害賠償などを抱えて解散後に特別清算を申請、開始決定を受けました。