乗り方の常識が変わった
また、埼玉県が21年、名古屋市が23年にエスカレーターでは歩かずに立ち止まって乗ることを義務づける条例を施行している。
いずれも罰則はない努力義務だが、効果も出ている。名古屋市が24年6~7月に交通機関6か所、商業施設3か所、公共施設1か所で行った実地調査では、93.6%の人が立ち止まってエスカレーターを利用しているとの結果が出ている。
名古屋市では「なごやか立ち止まり隊」と称して、看板を背負ってエスカレーターの右側に立ち止まって乗るスタッフを公共交通機関に送り込んだり、床面に歩かないよう注意喚起するマーキングを施したり、ポスターを設置するといった積極的な啓発活動を実施。そのおかげもあって結果が出たのだろう。
名古屋の成功に続こうとする自治体もあるようで、24年12月29日付の『中日新聞Web』では、福岡市交通局がエスカレーター事情の視察で名古屋に来ていると伝えている。
名古屋で定着した「両側立ち」のスタイルが全国の常識となる日もそう遠くないかもしれない。
(リサーチ班 大山雄也)