農林水産省は2025年3月から備蓄米計21万トンを放出している。4月23日から追加で10万トンを放出し、今後も端境期(7月)まで継続的に放出を続ける方針だ。ただし、集荷業者からの1年以内に同量を買い戻すとしている。
意味のないことに補助金をつけてコメの生産を抑える
そもそも経済学では価格は需給関係で決まる。これを応用すると、米の価格上昇について、供給減少となる減反政策が基本的な原因だ。農水省はコメから麦や大豆に転作した農家に補助金(水田活用の直接支払交付金)を出し、コメの生産を抑えている。減反は人為的な生産調整であるので、需要の僅かな変動にも耐えられない。これまでの世界の歴史をみても、官僚機構が市場の価格機構を代替できたことはない。わざわざ意味のないことに補助金をつけるので、無駄の極致だ。この減反政策でコメの生産は毎年13万トン程度減少している。
今回、政府は備蓄米を放出する。これは一時的な供給増だが、1年以内に買い戻しをするので、いずれ元に戻る。となると、需給のバランス崩れは基本的に解消しないので、中間業者は値上がりを期待し、買い付け行動をする。これらが今般の値上がりの基本的な要因だ。