万博での「ユスリカ」大量発生の原因と対策 「いのち」に配慮の防虫徹底も...対策担当の専門家「やむを得ない事象では」

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

万博側ができる対策は...「池の水を完全に海水とする」こと?

   では、万博側ができる対策としてはどのようなものがあるのだろうか。

   奥村氏は可能であればと前置きした上で「現在、汽水域となっている池に海水を引き入れて池の水を完全に海水とすること。これが抜本的な解決策です」と話す。シオユスリカは汽水域に発生するという特異な生態をもつため、この生息環境を人為的につくり変えることで繁殖を阻止するというものだ。

   取り急ぎ、すぐにでも実施可能な対策としては、「炭酸ガス製剤」の散布を挙げる。水産生物に影響を及ぼす「魚毒性」はあるものの、噴射しても有効成分が空気中に漂い地上に降り注がないため、「数ある殺虫剤の中ではもっとも環境に与える影響の少ない殺虫剤と言えます」と説明する。ただし、一過性の対処にしかならず「抜本的解決にはならない」と言う。

   また、「非現実的」としつつ、環境に配慮したシンプルな対策として「人海戦術で、蚊柱を補虫網でコツコツと取り除く」方法も挙げる。ただし、万博の開催期間中の実施は難しいとみている。

   その他、ユスリカの屋内への侵入防止策として、「工場扇」と呼ばれる屋外用の大きな扇風機をパビリオン出入口の内側から外側へ向けて送風しておく方法があるという。山間部のコンビニなどに見られる対策方法で、「ユスリカは決して飛翔力の強い昆虫ではないので、大型の扇風機の風量があれば十分吹き飛びます」と説明。「安全かつ周辺の生物にも影響しない方法」としてはもっとも現実的ではないか、と話した。

   最後に奥村氏は、「万博会場が『いのち』をテーマに、会場内の防虫対策にもいのち(生物の多様性)を守る方法を模索して真剣に取り組んでいる事を少しでも多くの方に知って頂けたら嬉しいです」と話した。

1 2 3
姉妹サイト