シニアのダイエットにはリスクもある 「メタボ対策」での食事制限が筋肉量減らし危うい事態に

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鎌田實さんは「しっかり食べる」に重きを置けと

   シニア専門のマーケティングリサーチ「コスモラボ」が2024年、60歳以上のモニターを対象に実施した「シニア層のダイエット実態と意識調査」によると、「過去にダイエットした」と答えたのは39.6%で、「現在、ダイエットしている」の12.2%を含めると、51.8%となった。2人に1人がダイエット経験者で、今なお進行形でダイエットに励むシニアが10人に1人の割合でいた。

   しかし――。年をとったら、気をつけたいのは「メタボ」よりも「フレイル」と説くのが、医師で作家の鎌田實さんだ。要介護状態の前段階「フレイル」(虚弱)の予防を重視してきた鎌田さんによると、肥満症などの生活習慣病を抱える「メタボリック症候群」に着目した「メタボ健診」が始まった2008年当時に受診した世代が今、高齢期を迎えている。週刊誌「サンデー毎日」の取材に対し、鎌田さんは「働き盛りにメタボはいけない、という情報を刻み込んだために、年齢を重ねても太ってはいけない、と信じ込んでいる方が多い」との見方を示す。

   確かに60歳ぐらいまでは血管のダメージを抑えるメタボ対策が、将来の心筋こうそくや脳こうそくの予防に役立つが、65歳を過ぎたら、衰え始めてくる筋肉量や骨を維持するため、「しっかり食べる」に重きを置くべきだ、と鎌田さんは言うのである。健康目的で始めたダイエットの食事制限が、筋肉量を減らしてフレイルの危険性を高めてしまう恐れさえある。

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