「おれにスクイズ?」張本勲が無視した長嶋監督のサイン 試合後に「お前、あの時はな...」正座で耳にした言葉

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「この人に最後までついて行こうと思った」

   「試合後にマネージャーが『監督が呼んでる』と。よしよし小遣いくれるんだなと(喜びました)。打点挙げてるからね。そしたら、(部屋に入ったとたん)『座れっ!』て。私はパ・リーグでは肩で風切ってた男ですよ。私に座れ、なんて言う人はいませんよ。でも、(長嶋さんは)自分も正座しとるんです。私も正座しましたよ。そしたら、真正面(から私)を見て、『お前、あの時はな、オレは1点欲しかったんだよ。お前にバントさせれば100%成功する。ランナー2塁で、次の王(貞治)と勝負したいんだ。お前が監督になった時、これはよくわかる』って言われて、涙が出ました。両手、頭を(床に)ついて謝りました。そして、この人に最後までついていこうと思いましたね」と、うっすら涙を浮かべながら語った。

   長嶋さん、王さん、張本さん――。みな不世出のスーパースターだが、それぞれに魅力と違いがある。長嶋茂雄は自分がスーパースターであることを承知して、野球ファンのためにそれを演じ続けようとした。王貞治はスーパースターと思いあがってはいけない、常に謙虚であろうとしている人で、張本勲はスーパースターと言われるとうれしいけれど、照れ屋だから「いやあ、俺は違うよ」なんてわざと言ったりする。みんな素敵だなあ。

(シニアエディター 関口一喜)

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