唐突すぎる作況指数公表とりやめ...小泉農水相に異論続々 「理解困難」、「実態とズレた」経緯検証求める声も

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   小泉進次郎農水相が2025年6月16日、毎年のコメの作柄を示す「作況指数」の公表を25年産から中止すると発表した。

   SNSでは、この対応をめぐる疑問の声が相次いでいる。

  • 作況指数の公表取りやめの意図はどこに(写真はイメージ)
    作況指数の公表取りやめの意図はどこに(写真はイメージ)
  • 小泉進次郎農水相の突然の発表が波紋を広げている(写真は小泉氏のXから)
    小泉進次郎農水相の突然の発表が波紋を広げている(写真は小泉氏のXから)
  • 作況指数の公表取りやめの意図はどこに(写真はイメージ)
  • 小泉進次郎農水相の突然の発表が波紋を広げている(写真は小泉氏のXから)

「生産現場の実態に合わなくなってきた」

   小泉氏は16日、Xでも「このたび農水省として、毎年のお米の出来・不出来を示す指標として、約70年前(昭和31年・1956年)から毎年秋に実施してきた『コメの作況指数』の公表を廃止することにしました」と発表。その理由を「コメの作況指数が生産者の実感とずれてきた」とし、その背景を「作況指数の算出に使っている過去30年のトレンドを踏まえた収量との比較では生産現場の実態に合わなくなってきた」などと説明した。

   今後については、「人工衛星などの最新の技術も活用しながら精度を向上させ、農業政策の新たな基盤を確立していくスタートにしてまいります」という。

   作況指数は公表を廃止するが、「今年の収穫量調査は例年通り10月に公表する予定」ともしている。

100超でも「大不作の時よりも米価が高くなってしまっている」のはなぜ?

   小泉氏の発表をめぐっては、国会議員や専門家らから異論が噴出している。

   立憲民主党の米山隆一衆院議員は、小泉氏の投稿を引用し「率直に理解困難です」と批判。

   「新しい指標を作るのは良いとして、当面『作況指数』の公表も続け、両者を統計的に比較してこそ、新指標、旧指標の妥当性を評価し、過去データを活かし、今後につなげる事が出来ます」と主張し、「ただ単に『やった感』優先のやり方だと言われて、止むを得ないものと思います」との見方を示した。

   泉健太衆院議員は、「小泉大臣による、作況指数の公表廃止発表。川内ひろし代議士が先月、問題点を指摘している」とした。

   川内博史衆院議員は5月14日、Xで「なぜ作況指数が100を超えていたのに、平成5年の作況指数が60から70くらいの大不作の時よりも米価が高くなってしまっているのか」と指摘。「農水大臣は農家は一切儲かっていないと会見で発言している」と疑問を呈していた。

   泉氏は川内氏の主張に触れ、「なぜ実態とズレたのか客観的検証や、責任の構造を明らかにすることが必要。即刻廃止だけでは、今後も道を誤る。有耶無耶になれば、被害を受けるのは、国民と農家だ」とした。

   川内氏は、16日にも小泉氏によるコメ農家やJA関係者らとの意見交換をしたとの投稿を引用し、「話を聞いた結果が作況指数の廃止であるとするならば違う」と投稿。

   「今回の米価の異常な高騰と作況指数は関係ないだろう。急いては事を仕損じる」とした。

橋下氏「これまでやってきた調査方法を漫然と続けてきただけ」

   一方で、データ分析の方針転換を支持する声もある。元大阪府知事で弁護士の橋下徹氏は、作況指数について「データ分析なく戦争に突入して、完敗したことが何も活かされていない。いまだに記録を廃棄したり、ないと言い張ったりしてるし」と反応。

   「現在の作況指数は、いい加減なデータなのに、『米は足りている!』と言い張る国会議員が多数。作況指数のサンプリングは母集団の代表性に関して無茶苦茶やし(新潟を低く扱い、北海道を高く扱っている)各品種の質も考慮されていない。これまでやってきた調査方法を漫然と続けてきただけ。日本の政治行政の象徴やな」と切り捨てた。

   13日にも、小泉氏がコメに関する統計を見直す意向を示した際にも、「作況指数は統計学的に無茶苦茶。サンプリングの採り方も、質の不考慮も。これだと米が足りてるかどうか全く分からない」と統計見直しを前向きに受け止めていた。

「届出をしている全ての事業者に報告を求める」

   小泉氏は17日、Xで「コメの流通実態を把握する新たな調査の着手について、今朝の定例会見で発表しました」と報告。

   コメの流通が自由化され、様々な流通形態が生まれたことで実態の把握が難しくなっていたとし、「今回食糧法に基づき、届出をしている全ての事業者に報告を求めるとともに、既に報告いただいている報告内容と実際の台帳とを突合する訪問調査を実施します」としている。

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