フォームか、メンタルか、チームとのマッチングか
どうすれば彼は復活できるのか。藤浪のかつての輝きを知るファンにとっては、気になるところだ。
復活の鍵となる制球難の克服について、これまでも多くの識者が語ってきたが、その意見は大きくふたつに分けられる。
ひとつは投球フォームの問題である。藤浪は肘を肩よりも上げないサイドスローのような動きから、オーバースローで投げる独特のフォームを持つ。多くの識者はそこに問題があると指摘している。
たとえば野球評論家の高木豊氏は、自身のYouTubeチャンネルで藤浪のフォームについて「肘を上げている時間に身体が(前に)行ってしまうからボールが抜けてしまう」「自然に考えると横(投げ=サイドスロー)にしたほうがいいのでは」と評している。
実際、MLB.comではメッツ時代の藤浪が「制球難は(ボディ・)メカニックの問題」と語ったと報じられている。
もうひとつの意見として、彼が身体の動きを考えすぎてしまう点が問題ではないか、という指摘がある。
シアトルのメディア「Seattle Sports」によれば、マリナーズでは「藤浪はあまりにも細かく、あるいは内向的に練習に没頭しすぎている」と考えられていたという。
藤浪と同様に長身・細身でフォームに悩んだ過去を持つチームのエース、ローガン・ギルバート投手がアドバイスする姿も見られた。
しかし、冒頭に述べたように、AAAで18回2/3を投げて四死球26という制球難が続いた。
今回の自由契約により、藤浪は新たなチーム探しをすることになる。代理人のスコット・ボラスは「"チームに合わなかった"だけで、可能性はまだ十分ある。日本や他球団とも話している」と語っている。
期待の星が迎えたキャリアの岐路。バッターを唸らせる剛球のポテンシャルを知るだけに、野球ファンは皆、藤浪の復活を願っている。