「赤ちゃんが起きるんですけど!」近隣トラブル 無断駐車、アイドリング騒音に耐えた母親が「最後に下した決断」

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   「少しくらいなら......」という我慢が、やがて限界を迎える――。

   近年、集合住宅で増えているのが、騒音やマナー違反をきっかけにした隣人トラブルだ。とくに、子育て世代にとっては、日々のささいなストレスが深刻な悩みへと発展するケースも少なくない。

「最初は、ちょっとだけなら......と見逃していました」

   そう話すのは、当時生後数か月の赤ちゃんを育てていた吉川里奈さん(仮名・30代)。騒動の舞台は、彼女が住むアパートの玄関前――そこに、ある日から連日、見知らぬ車が無断で止まるようになった。

  • 近隣トラブルに悩まされ…(写真はイメージ)
    近隣トラブルに悩まされ…(写真はイメージ)
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深夜のエンジン音と「どかされたカラーコーン」

   吉川さんは、都内のアパートで、夫と生まれたばかりの赤ちゃんと3人での新生活をスタートさせたばかりだった。ある日の夕方、自宅の玄関を開けると、見知らぬ車が止まっていたという。

   そこは、「緊急車両・配達車両以外は進入禁止」と明記されたスペースで、住人の駐車場ではなかった。

「宅配業者が一時的に止めることはあります。でも、その車は翌日も、さらにその次の週にも、また同じ場所に止まっていたんです」

   車の持ち主は、アパートの住人か、その訪問客らしい......。週末には、長時間アイドリングしたまま停車し、友人らしき人物をアパートの前で待たせる姿も見かけたという。そして、とくに困ったのは深夜だった。

「夜の10時を過ぎてもエンジンをかけたまま、30分近く止まっている日もありましたね。せっかく寝かしつけた赤ちゃんが、その音で何度も起きてしまって......」

   しかも、車が塞いでいるのはアパートのメイン出入り口だ。ベビーカーが通れず、首のすわっていない赤ちゃんを抱きながらベビーカーを持ち上げて移動するという「二重苦」に、吉川さんのストレスは限界を迎えていた。

「育児中で心身ともに余裕がない時期だったので、正直その光景を見るだけでイライラしてしまって。いつか怒鳴ってしまうんじゃないかと、自分が怖くなるほどでした」

管理会社との連携で伝えた「静かな最終警告」

   吉川さんはアパートの管理会社に状況を相談した。最初は「駐車禁止」の張り紙が出されたという。

   しかし効果が見られず、続いてカラーコーンが設置されたものの、それすらもわざわざどかして車を止める始末だった。

「驚いたのは、動かしたカラーコーンを戻さないことです。風にあおられて転がっているのを見たときは、嫌がらせかと思うほどでした」

   やむを得ず吉川さんは、自費でカラーコーン用のおもりを購入。これでもう動かせないだろう――と期待したのだが、それでも無断駐車は続いた。

「もう、呆れるしかありませんでした。注意のメッセージも、視覚的な対策も、まったく効果がなかったんですから!」

   そして、再度管理会社と協議をした結果、ついに「最終手段」が下される。

≪今後、無断駐車が確認された場合は、警察に通報いたします≫

   該当する住人への通達とともに、正式に「警察への通報OK」という許可が下りたのだ。

名前は明かされなかったけれど―「もう、それで十分だった」

   その日を境に、毎日のように現れていた問題の車は、ぴたりと姿を消した。それ以降、無断駐車は一切なくなったという。

「管理会社からは、『どの住人かはお伝えできません』と言われました。たぶんプライバシーへの配慮なんでしょうけど、正直もう知りたいとも思いませんでした」

   「警察に通報」という一言が、なによりも効果的なブレーキとなった――。

「今思えば、もっと早く行動していればよかったのかもしれません。でも、当時の私は、『赤ちゃんが起きてしまう』。たったそれだけのことさえ、声を上げるのに勇気が必要でした」

   吉川さんの言葉には、子育て中の母親ならではの静かな怒りと、揺るがぬ決意が感じられた。

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