フジテレビは2025年7月6日、芸能界を引退した中居正広氏とフジテレビ幹部らによる一連の問題をめぐる特別番組「検証フジテレビ問題~反省と再生・改革~」を放送した。「これは見た目が重視される会なのだと思いました」特番では、長年にわたって行われてきた「経営幹部による不適切会合」に言及した。3月31日公表の第三者委員会による調査報告書が「取引先の関心を得るため、フジテレビで行われていた『性別、年齢、容姿に着目した会合』が人権侵害のリスクを助長していた可能性」を指摘したことに触れて、VTRでは、若手女性社員らが笑顔の港浩一前社長を取り囲んだ写真を公開し、「彼女たちは、あるチームのメンバーに選ばれた社員でした」と説明。メンバーのうち、2人が取材に応じた。先輩に誘われて会に参加したという女性は、「港さんと一緒に仲良くお食事をする会だから、本当に安心して。ここの会はセーフな場所だから」と言われたという。「美しい、素敵な女性がいっぱい集まっていて、これは見た目が重視される会なのだと思いました」とも明かした。報告書によると、このチームは湊氏がバラエティー担当の役員だった10年頃に作られ、会合は1か月から3か月に1回のペースで行われており、コロナ禍を機に終了した。「女性蔑視ですし......女性社員はバカにされていた」番組では、メンバーの選抜は、港氏が入社式に訪れ、並んでいる新入社員の中から先輩メンバーが候補をピックアップし、港氏が最終的に指名するという流れだったと説明。チームには「他にどんな用事があっても、基本的には必ず参加する」という暗黙のルールがあったほか、嫉妬につながる可能性から「あまりこの会のことは外に言わないでほしい」との申し入れもあったという。こうした会合について問われた港氏は、「『秘密裏に』とか、そういう恐ろしそうな意味はないです」とした上で、チームの存在を隠すよう求めたことについては「冗談なんですけどね」と説明。港氏が同席した会で「不快な思いをした」と述べる人はいなかった一方、その存在を知った別の番組プロデューサーらが接待を求めることもあり、女性らの負担になっていたとした。。女性らは、「『とりあえず接待のために呼ぶ、女性だから』というのは、女性蔑視ですし......女性社員はバカにされていたんじゃないかな」「本当に異様な会だった」などと語っていた。「なんかそこだけ取りあげて......そんなふうに思ってない」また、港氏だけでなく大多亮元専務(関西テレビ元社長)も、女性アナウンサーを対象として同様の会合を行っていたことが指摘された。参加したことがあるという女性は、大多氏が「女性アナウンサーは上質なキャバ嬢だ。ホステスで売れるアナウンサーが、良いアナウンサーだ」と語っていたと告白。こうした発言から、アナウンサーらは必死に接待をしていたという。大多氏は、発言の真意について問われると「言葉の選び方が悪いと思うんですね、私の」。「なんかそこだけ取りあげて......」と言いよどみ、「そんなふうに思って、本当に思ってないですし」と否定。記憶はないとしつつ、「(言った記憶は)ないけども、記憶されている方のほうが絶対記憶されてると思うので、それは否定は全くしないです」ともしていた。SNSでは、こうした内容について「入社式で、港社長が指名してその会合メンバーに入れるっていう地獄みたいなシステムが気持ち悪すぎるw」「フジ・サンケイグループが批判的に報道してきた北朝鮮の『喜び組』と、港氏をはじめとする役員らの『会合』とは、いったいどう違うと言うのだろうか?」といった声が相次いだ。調査報告書では、類似事案の調査に関するアンケートで「部長クラスの社員が、若手女性社員を喜び組と呼び、芸能プロダクショントップ等との会合に、喜び組でも呼んどけ、と言っていた」などとする記述が波紋を広げていた。石戸諭氏「多くの社員が絶望感を抱くのは当たり前のこと」番組にコメンテーターとして出演したノンフィクションライターの石戸諭さんは、「まず経営陣の不適切会合ですけども、これは率直に言って驚きました」とコメント。「新入社員の入社式に来て、その入社式でメンバーを挙げて......これ『何のためにテレビ局に入ったんだっけ』っていうふうに、多くの社員が絶望感を抱くのは当たり前のことというふうに思います」と批判した。同じく番組出演していたオウルズコンサルティンググループ執行役員の矢守亜夕美さんは、「あまりにも前時代的といいますか、他の企業、業種であればもう考えられないようなことなので少し驚いたというところ」とし、「女性はうるさくワーワー言わずに、花として男性社員の仕事をケアしてたらいいんだよ、という意識が本当に慢性化していませんでしたかと」と問いかけた。
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